広島電鉄は、広島市内で7路線、8系統の路面電車を運行している。7路線の総延長は約35kmで、路面電車の総延長としては日本一である。
この路面電車の路線は、大きく分けると軌道線(市内線)と鉄道線(宮島線)に分かれている。軌道線(市内線)はほぼ全線が併用軌道であり、2025年8月3日以降、本線をはじめ下記6つの路線が存在する。
・本線:広島駅~広電西広島:5.2km
・宇品線:紙屋町~広島港:5.9km
・白島線:八丁堀~白島:1.2km
・横川線:十日市町~横川駅:1.4km
・江波線:土橋~江波:2.6km
・皆実線:稲荷町~皆実町六丁目:2.2km
一方の鉄道線は宮島線の一路線で、広島市内から宮島まで山陽本線と並行し、全線が専用軌道である。
・宮島線:広電西広島~広電宮島口:16.1km
もっとも、実際の運行系統は路線ごとではなく、下記の通り1号線から9号線の8系統(4号線は欠番)が、複数の路線にまたがって設定されている。
・1号線:広島駅(本線)紙屋町(宇品線)広島港
・2号線:広島駅(本線)広電西広島(宮島線)広電宮島口
・3号線:広電西広島(本線)紙屋町(宇品線)広島港
・5号線:広島駅(本線)稲荷町(皆実線)皆実町六丁目(宇品線)広島港
・6号線:広島駅(本線)土橋(江波線)江波
・7号線:横川駅(横川線)十日市町(本線)紙屋町(宇品線)広島港
・8号線:横川駅(横川線)十日市町(本線)土橋(江波線)江波
・9号線:八丁堀(白島線)白島
私は、一昨年、広島駅から広電宮島口まで、2号線を乗り通したので、今回はそれ以外の乗り残していた路線にまとめて乗車する。また、その際はまだ広島駅の停留所は地上であったが、つい先日の2025年8月3日に、広島駅停留場が駅ビル「ミナモア(minamoa)」の2階に移設され、それに伴い、従来の本線の一部である広島駅~猿猴橋町~的場町間が廃止となり、本線の広島駅~稲荷町、皆実線の稲荷町~比治山下間が新設された。この新設された2路線は「駅前大橋ルート」と呼ばれている。
なお、旧本線の的場町~稲荷町間と旧皆実線の的場町~比治山下間は休止状態となっているが、2026年から、新設される「循環ルート」の一部として運行再開が予定されている。
運賃は市内線、鉄道線ともに、全線均一で240円である。ただ、「MOBIRY DAYS」と呼ばれるQRコード決済システムを使うと、市内線は220円、宮島線は区間制の割引運賃が適用されるという。そのほか、割引乗車券も豊富に設定されており、一例を挙げると、「MOBIRY TRAVEL」というサイトでは、電車全線に乗車可能な8時間乗車券が600円、24時間乗車券が700円で販売されている。加えて、同サイトでは、「デジタルシティパス」という、市内線全線と市内の限られた範囲のバス路線に乗り放題、平日は10時から16時まで、土休日は使用開始から6時間有効で440円という破格の乗車券も販売されている。
今回、私は、「MOBIRY TRAVEL」で、24時間乗車券を購入した。700円也。

2025/9/28:広島電鉄1号線:広島港(宇品)→八丁堀
松山からの高速船が広島港の宇品旅客ターミナルに到着したのは10時10分過ぎであった。宇品旅客ターミナルを出ると、目の前が広電市内線の広島港(宇品)停留場である。ここから広島駅へは1号線と5号線があり、5号線の方が所要時間は短い。一方で、紙屋町方面へ向かうのであれば1号線ということになる。


まずは1号線に乗車する。宇品線を紙屋町まで進み、そこから本線で広島駅へ向かう路線である。昼間は1時間に5本程度の運行である。
10時32分発の広島駅行きは1000形での運行であった。3両編成の車両である。



車内。

広島港の近くは公園になっているが、すぐに住宅が並ぶ地域に入る。


海岸通、宇品五丁目と進むにつれて、各駅で多くの客が乗車して、すぐに立ち客で通路まで埋まった。
皆実町六丁目を出ると左折して皆実線と分かれる。

京橋川を渡る。

広電本社前、市役所前と進む。通りには商業ビルやホテルが並んでいる。
本通を出ると、右折して、次は紙屋町東に停車する。紙屋町停留場は西と東に分かれており、本線を直進する列車は両方の停留場に停車するが、1号線は東のみに停車する。
白島線との接続停留場である八丁堀には11時12分に到着した。ここで電車から降りた。「MOBIRY DAYS」を使用する場合はすべてのドアから降りることができるが、現金や交通系ICカードなどを利用する場合は運転手か車掌のいるドアから降りる必要がある。

八丁堀停留場付近。

この日は、まだ朝食すら食べていなかったが、もうお昼時に差し掛かろうとしている。松屋か吉野家で軽く食べようかと思って歩いていたが、少し歩いていると、「みっちゃん太田屋」というお好み焼店を見つけたので、ここに入る。カウンター席とテーブル席があり、カウンター席に座る。カウンターの目の前に鉄板があり、そこでお好み焼きが作られている。

メニューの一番上の、肉・玉子のシンプルなお好み焼きを注文した。800円也。麺はうどんか焼きそばを選ぶことができるので、うどんにした。美味しくいただいた。キャッシュレス決済はPaypayが対応していた。

2025/9/28:広島電鉄9号線:八丁堀→白島
八丁堀から白島までの白島線は、本線と線路上は繋がっているものの、本線に乗り入れるのは朝晩にそれぞれ2本ずつだけであり、それ以外はすべて八丁堀と白島を行き来する運用となっている。白島線を走行するのは9号線であり、「白島線=9号線」という状態である。9号線は10分間隔での運行である。
八丁堀停留場は、本線が相生通り沿いに、白島線が白島通り沿いにあり、本線と白島線の乗り換えに際しては信号を渡る必要がある。


八丁堀から、11時50分発の白島行きに乗車する。

白島までは4駅で、終点の白島には11時58分に到着した。

白島停留場付近。

2025/9/28:広島電鉄9号線:白島→八丁堀
雨が降っていたので、すぐに折り返しの八丁堀行きに乗車する。

12時に白島を出て、八丁堀には12時08分に戻った。

2025/9/28:広島電鉄1号線:八丁堀→広島駅
信号を渡り、相生通り沿いの本線の八丁堀停留場に向かう。ここから広島駅行きに乗車する。広島駅方面は本数が多く、ほとんど待たずに乗ることができた。
稲荷大橋を渡り、稲荷町停留場を出発すると、交差点で信号待ちとなる。(以下の一部写真は別の乗車時に撮影)

以前はこのまま直進していたが、左折して新設された「駅前大橋ルート」に入る。

広島駅発の便が停車する稲荷町停留場を通過する。

新ルートの名称にもなっている駅前大橋の手前から、広島駅ビル「ミナモア(minamoa)」の2階へのスロープが始まる。




スロープを上がると、まもなく終点の広島駅停留場である。

「MOBIRY DAYS」を使用する場合はすべてのドアから降りることができるが、現金や交通系ICカードなどを利用する場合は運転手か車掌のいるドアから降りる必要がある。ただ、広島駅では、各ドアに交通系ICカードの端末を持った係員が待機しており、スムーズに降車できるような措置が図られていた。


広島駅の駅ビル「ミナモア(minamoa)」の3階からは、停留場全体を眺めることができる(後程撮影)。


2025/9/28:広島電鉄5号線:広島駅→宇品五丁目
広島駅からは、5号線で広島港方面へ向かう。広島駅から広島港へは1号線と5号線で向かうことができるが、5号線は、皆実線を経由して広島港へ向かい、先ほど乗車した1号線とは皆実町六丁目で合流する。広島駅から皆実町六丁目までは1号線が約30分、5号線が約15分である。
12時21分発の5号線広島港行きに乗車した。5号線も昼間は1時間に5本程度の運行である。


3分ほど遅れて広島駅を出発した。広島駅出発時に座席はほとんど埋まった。

今回新設された駅前大橋ルートを通り比治山下まで向かい、そこからは従来の皆実線を走行する。
途中で眠ってしまう。5号線は、皆実町六丁目を出ると、先ほど乗車した宇品線に乗り入れて広島港まで向かう。乗りつぶしの観点では皆実町六丁目まで乗れば足りるのであるが、気づいたときには皆実町六丁目をだいぶ過ぎていた。宇品五丁目で降りた。

2025/9/28:広島電鉄1号線:宇品五丁目→広電本社前
宇品五丁目でからは、横川駅の方へ向かう。


横川駅へは7号線に乗ればよいのであるが、昼間の7号線は広島港始発よりも広電本社前始発が多い。

5号線広島駅行きが到着したが、これには乗らずに見送る。

次に1号線の広島駅行きが到着したので、これに乗車して、広電本社前まで向かう。

皆実町六丁目を経て、広電本社前には13時10分に到着した。

2025/9/28:広島電鉄7号線:広電本社前→横川駅
広電本社前から、7号線の横川駅行きに乗車する。7号線は広島港と横川駅とを宇品線、本線、横川線経由で結ぶ路線であるが、前述の通り、昼間の時間帯は、宇品線の末端の広島港までは行かずに、途中の広電本社前始発・終着の便が多い。広電本社前から先は、1時間に4、5本の運行である。

広電本社前を13時09分に出発する横川駅行きの列車は、4分ほど遅れてホームに到着した。遅れていたおかげで、すぐに乗り継ぐことができた。


広電本社前を出た時点では客は2名だけであったが、途中で少しずつ客が多くなる。
紙屋町の交差点を左折して本線と合流して、紙屋町西に停車する。

原爆ドームの前を通り、十日市町の交差点では右折して横川線に入る。


終点の横川駅には13時48分に到着した。JR山陽本線・可部線の横川駅が目の前にある。群馬県の方は「よこかわ」であるが、こちらは「よこがわ」である。

2025/9/28:広島電鉄8号線:横川駅→江波
横川駅からは8号線で江波まで向かう。8号線は横川駅と江波を結ぶ路線で、横川駅から横川線で十日市町、本線で土橋、江波線で江波という経路をたどる。運転間隔はばらつきがあるものの、1時間に4本程度の運行である。
13時48分発の江波行きは、5分遅れで横川駅を出発した。

先ほど来た道を十日市町まで戻り、本線で土橋へ進む。本線はこの後右折して広電西広島、さらに宮島へと繋がるが、江波線は直進する。
終点の江波には14時18分に到着した。これで広島電鉄の軌道線のうち、現在運行中の区間には全線乗車した。

さらに進むと江波車庫があり、広島電鉄の路面電車が停車している。また、広電バスの広島中央営業所も併設されており、バスも多く停車している。

2025/9/28:広島電鉄6号線:江波→紙屋町東
江波からは広島駅行きの6号線で紙屋町まで向かう。昼間は1時間に5本程度の運行である。

14時24分発の広島駅行きに乗車した。


本線の紙屋町は、停留場が交差点を挟んで2つあり、東と西に分かれている。本線と宇品線を直通する1号線は紙屋町東、3号線、7号線は紙屋町西のみに停車するが、本線を直通する2号線と6号線はいずれにも停車する。
紙屋町東まで乗車した。

2025/9/28:広島電鉄1号線:紙屋町東→本通
歩いてすぐの距離ではあるが、紙屋町東から1号線に乗車して、これから乗車するアストラムラインとの接続駅である本通まで向かった。


【2025/9広島】(目次)
4,松山から広島へ:石崎汽船 スーパージェット「祥光」:2025/9/28【2025/9広島】
5,広島電鉄:軌道線(市内線):2025/9/28【2025/9広島】【←本記事】
6,広島高速交通広島新交通1号線(アストラムライン):7000系:2025/9/28【2025/9広島】
【日本の路面電車の乗車記録】
(北海道)
(東日本)
2,宇都宮ライトレール(ライトライン):2024/12/29【2024/12九州】
(東海・北陸)
10,福井鉄道福武線・えちぜん鉄道三国芦原線(フェニックス田原町ライン):福井鉄道F2000形「FUKURAM Liner」:2024/10/26【2024/10北陸】
9,福井鉄道福武線:F10形「レトラム」:2024/10/26【2024/10北陸】
14,豊橋鉄道東田本線:2020/1/11【2020/1東海】
4,富山地方鉄道:市内電車:2025/5/16【2025/5北陸】
5,富山ライトレール富山港線:2009/9/5【2009/9西日本】
(西日本)
3,京福電鉄嵐山本線・北野線(嵐電):2024/1/27【2024/1京阪神】
24,岡山電気軌道清輝橋線:2023/10/22【2023/10四国】
14,岡山電気軌道東山本線:2009/10/5【2009/10西日本】
4,広島から宮島口へ:広島電鉄2号線:2023/9/8【2023/9九州】
(四国)
27,伊予鉄道:市内電車: 2024/1/1【2023/12四国】
6,伊予鉄道・市内電車:6号線(本町線):2023/10/20【2023/10四国】
17,とさでん交通伊野線・桟橋線:600形・1000形:2023/12/31【2023/12四国】
15,とさでん交通伊野線・後免線:600形:2023/12/30【2023/12四国】
(九州)
13,長崎電気軌道:2022/12/25【2022/12九州】
16,鹿児島市電:1系統・2系統:2022/9/11【2022/9九州】
18,鹿児島駅から鹿児島中央駅へ:鹿児島市電:2系統:1000形「ユートラム」:2021/12/13【2021/12九州】
【諸外国の路面電車の乗車記録】
(オーストラリア)
17,アデレード・メトロ:グレネルグ・トラム(Glenelg tram line):2013/2/21【2013/2オーストラリア】
(ヨーロッパ)
12,ドレスデン:路面電車:2020/3/2【2020/2ヨーロッパ】
24,ベルリン:トラムM2系統:2012/2/27【2012/2ドイツ】
17,ベルリン:トラムM10系統:2012/2/27【2012/2ドイツ】
42,バーゼルの路面電車:2012/3/2【2012/2ドイツ】
(米国)
37,ロサンゼルス:メトロ・ブルーライン:2011/8/19【2011/8アメリカ合衆国】
11,シアトル:サウスレイクユニオンストリートカー(South Lake Union Streetcar):2011/8/13【2011/8アメリカ合衆国】
9,シアトル:リンクライトレール(Link light rail):2011/8/13【2011/8アメリカ合衆国】
(ロシア)
27,ハバロフスクの路面電車(1):2012/4/2【2012/3中国・ロシア】