富山地方鉄道は、富山市に本社を置き、富山県内でバス、鉄道、また富山市内で路面電車を運行している。この路面電車は、富山地方鉄道のウェブサイトでは「市内電車」と案内されている。今回は、まず、市内電車を全線乗車することにした。
市内電車は、厳密には、南富山駅前と電鉄富山駅・エスタ前の3.6kmを結ぶ本線、電鉄富山駅・エスタ前から支線接続点を経て丸の内までの1.0kmを結ぶ支線、丸の内と安野屋の0.4kmを結ぶ安野屋線、安野屋と富山大学前の1.4kmを結ぶ呉羽線、丸の内と西町の0.9kmを一方通行で結ぶ富山都心線、支線接続点と富山駅の0.2kmを結ぶ富山駅南北接続線と、富山駅から岩瀬浜までの8kmを結ぶ富山港線で構成されている。
実際の運行形態を見ると、6つの系統に分かれている。まず、南富山駅前から富山駅を経て富山大学前までを結ぶ系統(2系統)と、その区間系統で南富山駅前と富山駅を結ぶ系統(1系統)がある。次いで、富山駅から丸の内、グランドプラザ前、中町を経て富山駅まで一方通行で運行する環状線系統(3系統)があり、さらに、富山港線から富山駅を経由して南富山駅前、富山大学前、環状線にそれぞれ直通する系統(4系統、5系統、6系統)がある。
市内電車は均一料金で、現金あるいはSuicaなどの全国交通系ICカードを使う場合は240円、富山地方鉄道の交通系ICカード「ecomyca」を使う場合は220円である。今回は何回か乗車することから、スマートフォンの「my route」というアプリから、富山地方鉄道の市内電車全線と、富山駅前からの路線バス280円区間を1日何度でも乗車可能なフリーきっぷ「市内電車・バス1日フリーきっぷ」を購入した。650円也。
2025/5/16:富山地方鉄道:2系統:富山駅→南富山駅前
富山駅の停留場は、富山駅の1階を南北に貫く構造となっている。
停留場には外から直接入ることもできるが、富山駅で新幹線か在来線を降りたら、そのまま外に出ることなく乗り場へ向かうことができる構造となっている。
富山駅から、まずは南富山駅前へ向かうことにした。富山駅から南富山駅前行きは1時間に8本の運行である。
16時57分発の南富山駅前行きは、富山大学前始発の列車であった。富山駅ではスイッチバックをして出発することになる。富山駅で客を降ろした後、運転手が反対側の運転台に移動して、乗車ドアが開いた。
今回乗車した車両は、1993年に日本車輛製造で5編成製造された8000形であった。
車内(後程撮影)。
南富山駅前までは、富山県道43号富山上滝立山線上の併用軌道を進む。富山駅から南富山駅までは富山地方鉄道の鉄道線である不二越・上滝線もあるが、こちらは稲荷町方面へ迂回するため、距離的には路面電車の方が短距離である。ただ、所要時間は不二越・上滝線の方が市内電車より10分以上短く、12分ほどで走破する。
終点の南富山駅前には17時21分に到着した。富山駅から25分ほどであった。
列車を降りて前方へ進むと、不二越・上滝線のホームがある。
南富山駅には駅舎があり、1階は待合室となっている。
南富山駅前。
2025/5/16:富山地方鉄道:2系統:南富山駅前→電鉄富山駅・エスタ前
南富山駅前からは、折り返し17時27分発の富山大学前行きに乗車した。
17時29分発の富山駅止まりの便に見送られて、南富山駅前を出発する。
富山県道43号富山上滝立山線を進む。後方を撮影した。
ほとんどの停留場では歩道と駅の間は横断歩道で繋がっているが、堀川小泉停留場は、歩道まで歩道橋を通る必要がある。
西中野停留場。
後ろに、南富山駅前を2分後に出発した富山駅止まりの列車が接近した。
富山駅の1つ手前の電鉄富山駅・エスタ前には17時45分に到着した。
列車に乗っている途中から無線が騒がしいなと思ったが、運転手の案内によると、新富町停留所で車両故障が発生したらしい。新富町は、富山駅から富山大学前方向へ1つ目の停留場である。その影響で、富山大学前行きと環状線の列車が富山駅から発車することができず、富山駅で路面電車の渋滞が起きているらしい。この列車はしばらく電鉄富山駅・エスタ前で停車するという。
私の乗っていた列車のすぐ前にも、足止めされた車両が停車している。
結局、電鉄富山駅・エスタ前で列車を降りて、徒歩で富山駅へ向かった。電鉄富山駅・エスタ前は、現在の富山駅停留場が完成する2015年までは富山駅前停留場であった。富山駅は信号を渡ってすぐである。
2025/5/16:富山地方鉄道:富山駅前→岩瀬浜
富山駅停留場では、富山地方鉄道の係員が対応に当たっていた。先ほどの運転手の案内通り、富山大学前行きと環状線方面は、新富町での車両故障の影響で運転見合わせになっている。新富町停留場は富山駅からもかろうじて見えるところにあり、係員が、「あの車両が故障して」などと案内している。いつ復旧するか分からないため、いったん、富山港線で岩瀬浜へ向かうことにした。
もともと富山港線は富山地方鉄道の路線であったが、1943年に戦時買収により国有化されたのち、2006年2月まではJR西日本が運行を行っていた。その後、LRT化の一環として富山駅付近の経路変更と駅の新設を行ったのち、同年4月から富山ライトレール富山港線として運行を再開した。2020年に富山ライトレールが富山地方鉄道に吸収合併されたことにより、再び富山地方鉄道の路線となった。
私は、この路線に富山ライトレールだった頃の2010年に乗車している。その際は、始発が富山駅北口にある富山駅北停留場であった。富山地方鉄道と合併後の2020年3月に富山駅北停留場が廃止となり、富山駅停留場に乗り入れ、富山軌道線と直通運転を開始した。富山港線は基本的には1時間に4本の運行である。
次の岩瀬浜行きは5番線からの発車とのことで列ができていた。ただ、このダイヤ乱れの影響からか、急遽、8番線に電気を消して停車していた車両が、当駅始発の岩瀬浜行きとなった。
車両はTLR0600形「ポートラム」である。この車両は、2006年に富山ライトレール富山港線が開業した際に投入された。
車内(後程撮影)。ロングシート、ボックスシート、クロスシートが合わさった構造である。
連結部分。
岩瀬浜行きの列車は、18時04分に富山駅を出発した。富山駅から奥田中学校前までは併用軌道を走行する。
富山駅を出ると、次はオークスカナルパークホテル富山前に停車する。ここは2021年に開業したばかりの駅で、目の前にオークスカナルパークホテルがある。立地上の問題ゆえに、岩瀬浜方面のみホームがあり、反対方向の富山駅方面の列車は通過となる。
奥田中学校前の手前で、併用軌道から専用軌道に入る。
富山駅を出発した時は遅延の影響もあってか車内は混雑していたが、奥田中学校前より先では降車が大半で、城川原で着席した。
富山港線は単線で、粟島(大阪屋ショップ前)駅、城川原、萩浦小学校前が交換可能駅となっている。
城川原では富山駅方面への列車と行き違いをする。
岩瀬浜の1つ手前の競輪場前を出ると、車内は数名となった。
終点の岩瀬浜が近づくと、岩瀬運河を渡る。
岩瀬浜には18時31分に到着した。
岩瀬浜駅では、列車によってはフィーダーバス「岩瀬・大広田・浜黒崎ルート」に接続する。バスのホームの反対側がバス乗り場となっており、対面乗り換えが可能である。
岩瀬浜駅前。
2025/5/16:富山地方鉄道:6系統:岩瀬浜→富山駅
折り返しの富山駅方面行は、グランドプラザ前行きとして18時35分に岩瀬浜を出発した。環状線に乗り入れる列車は、「グランドプラザ前」行きと表示することになっているようである。新富町停留場での故障車両は無事引き上げられたらしく、富山駅より先まで運行可能だという。
沿線には高校もあり、途中からは高校生で車内が満員となった。
奥田中学校前には18時54分に到着した。富山駅方からの列車が遅延をしているようで、ここで8分ほど時間調整をする。併用軌道に入ると、龍谷富山高校前(永楽町)の手前まで複線区間となっている。龍谷富山高校前(永楽町)の手前の複線区間が終了するところで再び数分停車し、ここで岩瀬浜行きと行き違いをした。
富山駅には19時13分に到着した。
2025/5/16:富山地方鉄道::富山駅前→富山大学前
富山駅から、運行を再開した富山大学前行きに乗車する。
次の富山大学前行きは、南富山駅前始発の列車であった。1957年に日本車輛製造で製造された富山地鉄7000形である。
富山駅を19時17分に出発し、富山大学前には19時30分に到着した。富山大学の最寄りの停留場である。
2025/5/16:富山地方鉄道:富山軌道線:富山大学前→丸の内
富山大学前から、折り返し南富山駅前行きに乗車して丸の内まで向かう。
2025/5/16:富山地方鉄道:富山軌道線:丸の内→富山駅前
丸の内からは、富山都心線(環状線)を通る富山駅方面行に乗車する。
この時間帯は1時間に4本の運行であるが、先ほどの車両故障の影響でダイヤは乱れており、次の列車がいつ来るかは分からない。
8分ほど待つと、環状線から岩瀬浜へ直通する6系統が到着した。丸の内を出ると、富山城址公園に沿って左折する。その後、右折、左折を繰り返し、グランドプラザ前を経て、中町で南富山駅前からの本線と合流する。この区間は単線で一方通行となっている。
富山駅には20時07分に到着した。
【2025/5北陸】(目次)
3,高山から富山へ:富山地方鉄道「高山線」:2025/5/16【2025/5北陸】
4,富山地方鉄道:市内電車:2025/5/16【2025/5北陸】【←本記事】
5,富山:富山地鉄ホテル:シングルルーム:2025/5/16【2025/5北陸】
6,富山から岩峅寺へ:富山地方鉄道不二越・上滝線:17480形:2025/5/17【2025/5北陸】
7,富山から宇奈月温泉へ:富山地方鉄道本線:14760形:2025/5/17【2025/5北陸】
【日本の路面電車の乗車記録】
(北海道)
(東日本)
2,宇都宮ライトレール(ライトライン):2024/12/29【2024/12九州】
(東海・北陸)
10,福井鉄道福武線・えちぜん鉄道三国芦原線(フェニックス田原町ライン):福井鉄道F2000形「FUKURAM Liner」:2024/10/26【2024/10北陸】
9,福井鉄道福武線:F10形「レトラム」:2024/10/26【2024/10北陸】
14,豊橋鉄道東田本線:2020/1/11【2020/1東海】
5,富山ライトレール富山港線:2009/9/5【2009/9西日本】
(西日本)
3,京福電鉄嵐山本線・北野線(嵐電):2024/1/27【2024/1京阪神】
24,岡山電気軌道清輝橋線:2023/10/22【2023/10四国】
14,岡山電気軌道東山本線:2009/10/5【2009/10西日本】
4,広島から宮島口へ:広島電鉄2号線:2023/9/8【2023/9九州】
(四国)
27,伊予鉄道:市内電車: 2024/1/1【2023/12四国】
6,伊予鉄道・市内電車:6号線(本町線):2023/10/20【2023/10四国】
17,とさでん交通伊野線・桟橋線:600形・1000形:2023/12/31【2023/12四国】
15,とさでん交通伊野線・後免線:600形:2023/12/30【2023/12四国】
(九州)
13,長崎電気軌道:2022/12/25【2022/12九州】
16,鹿児島市電:1系統・2系統:2022/9/11【2022/9九州】
18,鹿児島駅から鹿児島中央駅へ:鹿児島市電:2系統:1000形「ユートラム」:2021/12/13【2021/12九州】
【諸外国の路面電車の乗車記録】
(オーストラリア)
18,アデレード・メトロ:グレネルグ・トラム(Glenelg tram line):2013/2/21【2013/2オーストラリア】
(ヨーロッパ)
12,ドレスデン:路面電車:2020/3/2【2020/2ヨーロッパ】
24,ベルリン:トラムM2系統:2012/2/27【2012/2ドイツ】
17,ベルリン:トラムM10系統:2012/2/27【2012/2ドイツ】
42,バーゼルの路面電車:2012/3/2【2012/2ドイツ】
(米国)
37,ロサンゼルス:メトロ・ブルーライン:2011/8/19【2011/8アメリカ合衆国】
11,シアトル:サウスレイクユニオンストリートカー(South Lake Union Streetcar):2011/8/13【2011/8アメリカ合衆国】
9,シアトル:リンクライトレール(Link light rail):2011/8/13【2011/8アメリカ合衆国】
(ロシア)
30,ハバロフスクの路面電車(1):2012/4/2【2012/3中国・ロシア】