小海線は、山梨県の小淵沢と長野県の小諸を結ぶ78.9kmの路線で、全線開通は1935年である。野辺山駅付近でJR線の標高最高地点である1375mを通過し、野辺山駅も標高1345.67mとJR線の駅の中では最も標高が高いところにある。小淵沢から野辺山にかけては、昼間は八ヶ岳を望むことができ、車窓からの眺めが良い路線としても有名である。
さて、この日は、朝8時に豊橋を出て、飯田線を乗り通し、茅野で中央本線に乗り換えて、小淵沢には17時07分に到着した。当初は、このまま中央本線で東京へ戻ろうと思っていた。17時23分の高尾行きに乗り、高尾で乗り継げば、20時30分には新宿に到着する。
ただ、小淵沢駅に着いて、この日が小海線の臨時列車「HIGH RAIL 星空」の運行日であることを知った。「HIGH RAIL 星空」は、小淵沢を18時17分に出て小諸へ向かうが、途中の野辺山駅で50分近く停車し、停車時間を使って星空鑑賞会が行われるという。この日は雨が強く、星空は無理そうであるが、この列車に使われる小海線専属の観光用車両「HIGH RAIL 1375」も面白そうである。
JR東日本のウェブページを見ると、「HIGH RAIL 1375」は2両編成で、全車指定席である。車内には4種類のシートがあり、2号車は2列+2列の一般的なリクライニングシート車であるが、1号車には、1人掛けのシングルシート、2人掛けのペアシート、4人掛けのボックスシートがある。
今回、1号車のシングルシートは全て埋まっていたが、2号車のリクライニングシートはほとんどが空席であったので、こちらを1席予約した。指定券は840円である。快速列車なので、乗車券は「青春18きっぷ」を使うことができる。
2022/3/26:JR小海線:HIGH RAIL 星空:小淵沢→小諸
2007年に小海線に乗車したことがあり、小淵沢駅にも来たことがある。駅舎は2017年に新しくなっており、新駅舎になってから小淵沢に来たのは今回が初めてである。
「HIGH RAIL 1375」には売店があるが、弁当の販売はないとのことなので、駅1階の売店で駅弁を購入した。小淵沢駅の駅弁というと「元気甲斐」が有名であり、これを食べてみたかったが、やはり人気のようで、既に売り切れであった。
小淵沢駅改札口。
今回、指定席券は、えきねっとで決済を済ませた後、券売機で発券した。
18時過ぎに改札を通ってホームへ向かう。通路には、これから乗車する「HIGH RAIL 1375」の横断幕などがある。
「HIGH RAIL 1375」は2両編成であり、キハ100・110系の改造車である。キハ100系、キハ110系は1990年から1999年にかけて製造された気動車で、一時はJR東日本の非電化区間で広く運用されており、現在でも特に北東北の非電化区間では多く見ることができる。キハ100系と110系の違いは車両の長さであり、キハ100系は16m、キハ110系は20mだという。
小淵沢方の1号車はキハ110系の改造車である。
小諸方の2号車はキハ100系の改造車である。
行先表示器。種別はワンマン快速である。
18時10分頃に乗車開始となった。列車は2両編成であるが、開いたドアは2号車の1箇所のみであった。乗車前にアテンダントが指定席券を確認した。
今回は、2号車の座席を予約していた。
座席は、通路から1段高いところにある。
反対側から見る。
座席はリクライニングシートである。
背面テーブルが備わっている。
枕カバーには「HIGH RAIL 1375」のロゴが入っている。
座席モケットには星座が描かれている。
ドア寄りには1人掛け座席もある。
内装は観光列車らしい派手なものである。
2号車の運転台寄りには、「ギャラリーHIGH RAIL」がある。
本棚があり、天文関係の書籍が置かれている。
頭上には星座の映像が投影されている。プラネタリウムである。
後ほど、1号車にも行ってみた。こちらはシングルシートである。1人掛けのリクライニングシートが、窓向きに設置されている。
2人掛けペアシート。こちらはリクライニングシートではない。昼間に八ヶ岳などの車窓風景を楽しむのであれば、シングルシートかペアシートが良いだろう。夜は真っ暗なので、あまりメリットはなさそうである。
4人掛けボックスシート。ただ、写真だと手前側の席には窓がなく、外れ席の感がある。
デッキには、乗車記念スタンプが置かれていた。
車内で使うことができるWI-FIのオリジナルコンテンツの案内が置かれていた。
星空案内のほか、列車の前方、後方に設置されているカメラの映像を、自身の端末を通して見ることができた。
2号車にはトイレと洗面所が設置されている。トイレは大型で、車いす対応のものである。
洗面台はドアのすぐ脇にある。
「HIGH RAIL 星空」号小諸行きは、定刻18時17分に小淵沢を出発した。1号車は比較的埋まっていたが、2号車の客は私を含め3名だけであった。
列車には、アテンダントのほか、星空案内人が乗車している。アテンダントによる行程の案内の後、星空案内人がまず2号車に来た。案内人は、生憎の天気なので星空は心の目で、と前置きをしつつ、「3月の星空」と書いたA4の手書きのプリントを配り、それに基づいて星の説明をしてくれた。
清里に停車した後、JRの標高最高地点である1375m地点を通過し、野辺山に向かう。「HIGH RAIL 1375」の「1375」は、この標高に由来する。
野辺山駅に到着する前に、星空案内人が再び現れ、傘持ってますか、と聞いてきた。列車は、野辺山で50分停車する。この停車時間に、晴天であれば星空観察会が行われるが、この日は、駅近くにある体育館でDVDの鑑賞会を行うという。
列車は、野辺山に18時52分に到着した。JR線の中ではもっとも標高が高いところにある駅で、標高は1345.67mである。
到着後、車内放送でも、鑑賞会に向かう人は駅前に集まるようにとの放送が入り、車内の半数程度だろうか、それくらいの人が駅前に集まった。星空案内人の先導で、駅からの一本道を歩く。えらく暗い道であったが、本来であればこの列車が到着すると外で星空観察会となるため、この列車の運行にあわせて街灯の灯りを落としているらしい。案内人が懐中電灯で歩道を照らしてくれる。
体育館までは歩いて5分ほどであった。雨は弱まっており、むしろ風が強かった。傘が壊れそうなので、傘を閉じた。
案内されたのは、南牧村社会体育館であった。
真っ暗で人気がないが、星空案内人が鍵を開け、電気を付けた。そのまま会議室のような部屋に通され、そこで15分ほどのDVD鑑賞となった。野辺山で撮影された星空のDVDで、ところどころ、案内人が解説を挟んでくれた。
再び、小雨の中、野辺山駅まで戻った。
野辺山駅にて。
列車は、野辺山を19時42分に出発した。出発前に星空案内人が再び車内に現れ、空いていたからか、一人一人に挨拶をしてくれた。その際に、WI-FIコンテンツの説明もしてくれる。その後、案内人は列車を降り、ホームで手を振って見送ってくれた。
この列車のイベントはこれですべて終了で、この後は淡々と小諸に向かうのみである。
小淵沢で購入した駅弁をいただく。信州味噌を使用した「鰈の西京焼き弁当」、丸政製、1,380円也。
鰈は肉厚で、大変美味しくいただいた。
1号車には売店がある。この列車では中込までの営業であるというので、食後に行ってみた。スナックやオリジナルグッズが売られていた。コーヒーとチョコサンドクッキーを購入した。
コーヒーは350円で、紙コップには「HIGH RAIL 1375」のシールが貼られていた。
HIGH RAILオリジナルの缶に入ったチョコサンドクッキーは550円であった。
山の中を走り、小海には20時14分に到着した。ここで8分停車するので、駅の外に出てみた。
小海駅前。
小海駅改札口。
駅名標。
小海より先は、線路に沿って幹線道があるようで、街の灯りも見えるようになる。駅間の距離も比較的短く、次々と駅を通過する。
20時41分に中込に到着した。ホームでは、「HIGH RAIL1375」の法被を着た駅員が、横断幕と団扇を持って歓迎してくれた。
20時51分に佐久平に到着した。北陸新幹線との接続駅である。小海線のホームの下に新幹線のホームがある。ここで降りていく客も何名かいた。
終点の小諸には21時01分に到着した。
小諸では、しなの鉄道の115系と並んだ。
【2022/3東日本・東海】(目次)
16,JR飯田線:213系5000番台:2022/3/26【2022/3東日本・東海】
17,JR小海線:快速「HIGH RAIL 星空」:2022/3/26【2022/3東日本・東海】【←本記事】
18,しなの鉄道:SR1系(一般車):2022/3/26【2022/3東日本・東海】
【小海線の乗車記録】
6,小諸から小淵沢へ:JR小海線:2007/5/14【2007/5甲信越】
【観光列車の乗車記録】
(JR北海道)
10,JR釧網本線:くしろ湿原ノロッコ号:2018/8/27【2018/8北海道】
10,JR富良野線:富良野・美瑛ノロッコ6号:2006/7/30【2006/7北海道】
(JR東日本)
4,JR日光線:205系600番台「いろは」:2022/2/23【2022/2栃木】
白馬から長野へ:JR大糸線・篠ノ井線:快速リゾートビューふるさと:2021/9/26
長野から姨捨へ:JR篠ノ井線:快速ナイトビュー姨捨:2021/9/24
平泉から盛岡へ:JR東北本線:ジパング平泉3号:2017/5/5
3,JR米坂線・山形鉄道フラワー長井線:臨時快速「風っこ花回廊1号」:2009/6/7【2009/6山形】
3,三陸鉄道北リアス線・JR山田線:さんりくトレイン北山崎号:2007/8/4【2007/8岩手】
7,五所川原から秋田へ:JR五能線:快速リゾートしらかみ4号:2006/2/18【2006/2北東北】
(JR西日本)
10,JR木次線:奥出雲おろち号:2009/10/4【2009/10西日本】
(私鉄各社)
4,伊豆急行線:伊豆急行2100系「リゾート21」(黒船電車):2022/3/5【2022/3東日本・東海】
長野電鉄:観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」:2021/9/25
8,会津若松から会津田島へ:会津鉄道:お座トロ展望列車・会津浪漫花号:2020/10/10【2020/10東北】
6,津軽鉄道・ストーブ列車:2006/2/18【2006/2北東北】
(アメリカ合衆国の観光列車)
35,サンペドロ:ウォーターフロント・レッドカーライン(Waterfront Red Car):2014/9/20【2014/9コロンビア】
(オーストラリアの観光列車)
19,アデレードからメルボルンへ:ジ・オーバーランド(The Overland)(1):2013/2/22【2013/2オーストラリア】