2021年12月、小田急50000形VSE(Vault Super Express)が、2022年3月11日に定期運用から引退することが発表された。
VSEは、小田急の特急列車ロマンスカー用の車両として、2005年に運転を開始した。2編成のみの製造であったが、両先頭車には展望席があり、白色の赤のラインが入った車体は美しく、一時期は小田急を代表する車両といった位置づけであった。
10両編成ではあるが、乗り心地の向上を理由として、台車を車両の連結部分に設置した連接台車の構造を採用しており、先頭車は18.2m、中間車は13.8mと1両の長さが短くなっている。1両の長さが短いのは、連接台車を採用しつつ一般的な車両と同じ長さにすると、台車間の距離が一般的な車両と比べて長くなり、曲線区間にあるホームや線路脇の標識に車体が衝突するからである。
いつでも乗れると思っているとなかなか乗らないもので、いつの間にか定期運用からの引退が間近になってしまった。
2022/2/28:小田急小田原線・江ノ島線:特急ホームウェイ87号:新宿→藤沢
2022年2月28日月曜日。
小田急のウェブページで、新宿を21時20分に出る特急ホームウェイ87号藤沢行きにVSEが充当されることが分かったので、これに乗車することにした。出発1時間前にウェブページから予約をする。さすがに展望席とコンパートメント席は全て埋まっていたが、普通車両にはまだ空席が多く、席を自由に選択することができた。
新宿駅小田急線ホームの特急ロマンスカー発車案内。
ホーム上の乗車案内。
VSEの引退間近ということもあってか、VSEに関する展示があった。
ホームの立ち入りができない箇所にはプラレールが設置されていた。VSEの入線時刻が近くなると、係員がこの中に入り、プラレールを動かし始めた。
50000形VSEのほかに、60000形MSEも走っていた。
こちらは掃除機だろうか。
21時20分発のホームウェイ87号藤沢行きは、21時06分、片瀬江ノ島始発のえのしま2号として新宿駅に到着した。客を降ろした後、一旦ドアを閉め、出発5,6分前まで車内清掃が行われた。
前面の窓下には、「VSE ありがとう!」と書かれたシールが貼られていた。
側面には「感謝をこめて!」のシールが貼られていた。
先頭の展望車。
赤いラインの下には、"ROMANCECAR VSE"の文字がある。
他の車両では、車端部の窓上に"ROMANCECAR VSE"の文字があった。
再びドアが開いたので、乗車する。
デッキ部分は白色でまとまっている。
デッキ部にある車内案内。
くず物入れ。
平成17年(2005年)日本車輌製である。
50000形の愛称は”Vault Super Express”であるが、”vault”とは「アーチ形の天井」を意味する英語である。その愛称の通り、天井が高く、アーチ型になっているのが特徴である。
座席は、窓に向かって5度の角度が付けられ、景色を見やすいように配慮されている。
座席は、詰め物が少ないのか、板に座っている感覚というと言いすぎであるが、そこまで座り心地が良いわけではない。この点はEXEの方が上である。
座席には背面テーブルが備わっている。
背面テーブルの下には網ポケットがある。
また、座席を向かい合わせにしたときは、壁にあるテーブルを出すことができる。
トイレ・洗面所は3号車と8号車にまとまっている。
車いす対応の大型洋式トイレ。まだ真新しさを感じるデザインである。
男性用トイレ。
洗面所。カーテンがある。
3号車にはもともと売店として使われていたスペースがあり、さらにその奥にはコンパートメントがある。
カウンター下のショーケースには、「VSEありがとう」の文字と共に、VSEの写真や模型が飾られていた。
連結部分。この下に台車がある。連接台車の車両は乗り心地が良い、安定性があるなどと言われるが、正直なところ、他の特急車両と比べて何か違うかと言われると、個人的にはよく分からない。私が鈍感なだけかもしれないが、最近のボギー車の乗り心地が十分に優れているということもあると思う。
ホームウェイ87号藤沢行きは、新宿を定刻21時20分に出発した。1時間前に指定席券を購入した際には空席多数であったが、出発直前に購入する人が多いのか、車内はほぼ満席であった。VSE目当ての客も一定数見られたが、むしろ通常の通勤客が大半であるように見受けられた。私の隣にも客が来た。
車内放送では、「鉄道愛好家の皆様にお願いです。車内ではお休みの方もいらっしゃいますので、写真撮影等はご迷惑になりませんよう……」と案内が流れた。
通勤ラッシュのピーク時からは外れているものの、まだ列車の本数が多い時間帯である。複々線区間をゆるゆると走る。
新百合ヶ丘には21時43分に到着した。早速席を立つ客が多い。
新百合ヶ丘では、この列車は、多摩線の列車が使用する3番線に到着した。隣のホームを見ると、1番線には21時48分発の各駅停車本厚木行きが、2番線には21時43分発の急行小田原行きが停車していた。2番線から急行小田原行きが出発すると、直後に、21時46分発の快速急行小田原行きが2番線に入線した。既に夜も遅い時間であるが、綱渡りのような運用がなされている。
ホームウェイ87号藤沢行きは、21時45分に新百合ヶ丘を出発した。
町田を通過し、相模大野には21時56分に到着した。ここでも席を立つ客が多い。乗客はだいぶ少なくなった。
相模大野から先は小田急江ノ島線に入る。大和には22時04分に到着した。隣では22時07分発の普通藤沢行きが接続をとっていた。相鉄線との乗り換え駅でもある。
終点の藤沢には22時18分に到着した。
ホームウェイ87号は藤沢到着後は回送となって車庫へ引き上げる。
写真を撮る客もチラホラといた。
VSEは、2022年3月11日をもって定期運行を終了する。イベント列車ではまだ使われるようで、完全引退は2023年秋を予定しているとのことである。
【小田急ロマンスカーの乗車記録】
小田急小田原線:特急さがみ60号(EXEα):2020/11/6
6,小田急小田原線:特急はこね60号(EXE):2019/10/20【2019/10神奈川】
小田急小田原線・東京メトロ千代田線:特急メトロはこね22号(MSE):2009/10/25
松田から町田へ:小田急小田原線:特急あさぎり4号(RSE):2009/10/25
【元・小田急ロマンスカーの車両の乗車記録】
長野電鉄:観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」:2021/9/25
【首都圏の民鉄優等列車の乗車記録】
(東武鉄道)
10,下今市から浅草へ:東武日光線・伊勢崎線:特急きりふり284号:2020/10/10【2020/10東北】
浅草から大宮へ:東武伊勢崎線・野田線:特急アーバンパークライナー1号:2019/11/21
14,東武桐生線・伊勢崎線:特急りょうもう48号:2011/10/16【2011/10関東】
9,東武日光線:臨時快速(東武1800系):2011/10/15【2011/10関東】
(西武鉄道)
西武新宿線:特急小江戸41号(ニューレッドアロー):2021/11/13
5,西武池袋線:特急ちちぶ40号:西武001系「ラビュー」:2020/9/16【2020/9東京・埼玉】
(京成電鉄)
34,成田空港から日暮里へ:京成スカイライナー30号:2011/4/26【2011/4インドネシア】