メデジンにはメトロカブレ(Metrocable)と呼ばれる乗り物がある。日本で言うゴンドラであるが、割と最近できたもので、スラム街とメトロの駅とを結ぶために作ったのだという。これができたことにより、スラム街と街との時間的な距離が縮まったといえよう。ひいてはスラム街と街中の心理的な距離も縮まり、治安の改善にも繋がった、ということを何かで読んだ記憶がある。今は3路線運行されており、メトロのマップによれば、さらにこれから2つほどできるらしい。
たしかに、メデジンは山に囲まれている。その山はきわめて街に近い。勾配を考えれば鉄道を敷くことはできないだろう。さらに、鉄道を敷くとすれば、相当数のスラムの住民に土地を補填しなければならないことになる。ゴンドラを作るというのは、納得の行く発想である。
2014/9/16:Metro:Linea A:Parque Berrio → Acevedo
この日は、2つのメトロカブレに乗りに行く。15時半にParque Berrio駅に戻る。
まずメトロA線でAcevedoへ向かう。この駅からメトロカブレK線が出ている。メトロカブレとメトロの乗り換えは改札内なので、追加料金はかからない。
A線のAcevedo駅ホーム。
乗換通路から見たゴンドラと町並み。
2014/9/16:Metro:Linea K:Acevedo → Santo Domingo
AcevedoからSanto Domingoへ向かうK線に乗車する。開業は2004年である。
メトロカブレのゴンドラは8人乗りである。乗り場には誘導の係員がいて、8人ずつゴンドラに案内する。メトロが到着する度にメトロカブレに人が集中するのだが、この時間はほとんど並ぶことなく乗ることができる。
乗り心地は、普通のゴンドラである。
メトロカブレはいわゆるスラム街の上を走る。スラム街は、下から見るときちんとした家が並んでいるように見え、東南アジアやインドのスラム街を想像していると、これがスラムなのかと思う。しかし、上から見ると屋根がトタンであったり、あるいは屋根がボロボロで中が見えるものもあり、「やっぱりそうなのか」と思う。
2.07kmの道中に、AndaluciaとPopularの2つの駅がある。ゴンドラだからもちろん完全に停止するわけではないが、駅ではスピードが相当に落ちる。警備員が客の乗降を見守っている。
車窓から。
終点がSanto Domingoである。10分程度で到着する。同乗していた子供連れの客は、ここで降りないで折り返し下まで戻るようであった。そのような使い方も問題がないようである。
2014/9/16:Metro:Linea L:Santo Domingo → Arvi
このSanto Domingoからは、さらにもう一本メトロカブレが出ている。アルビ公園(Parque Arvi)まで行くL線である。2010年に開業したこの路線は4.6kmと距離が長い。また行楽用という位置づけなのか、料金体系が他のメトロとは別で、改めて料金を支払わなければならぬ。4.600ペソを支払う。
ほとんど人はいなかったものの、既に2人が乗っていて戸が閉まろうとしていたゴンドラに案内された。どうやら、メトロの係員は、1人で1ゴンドラというのは避けたいらしい。これ以後に乗ったゴンドラでも、このようなことがあった。
ゴンドラから写真を撮っていたら、同乗のおばさん2人に話しかけられる。当然スペイン語である。日本から来た旅行者だとスペイン語で言いつつ、英語で話しかけるも英語は解さないようであった。ただ、カメラを指さしてなにかを言うので、カメラを渡すと、私の写真を撮ってくれた。
この路線も最初は、スラム街の上空であった。上に行けば行くほど密度が小さくなり、人通りも少なく、荒廃しているように感じられた。ひょっとしたら、スラムの中でも貧富の差があり、上の方がより貧しいのかもしれない。一定の高度まで達するとスラム街が消え、山の上まで来ると、その上空を水平移動する。下は森であった。
Santo Domingoを出てから約20分でParque Arviに到着する。なかなか乗り応えのあるゴンドラであった。時間はもう16時半であった。
アルビ公園(Parque Arvi)駅前は広場になっていた。そこそこ暑く、犬が三匹けだるそうに寝そべっていた。
人は少なかったが、荒廃しているという意味での人の少なさではなく、平日の行楽地という意味での少なさであった。テントがいくつか出ていて、お土産品や果物などを売っていた。値段が高いのだろうか、覗いている観光客もいたが、買っていく客は少なかった。
公衆トイレを借りる。有料で500ペソであった。公衆トイレが有料である例は、この後もしばしば見かけた。
駅付近を少し歩いた。
2014/9/16:Metro:Linea L:Arvi → Santo Domingo
アルビ公園(Parque Arvi)駅付近に20分ほど滞在した後、再び駅に戻り、L線でSanto Domingoまで戻る。乗車券は"Arvi"の文字とイラストの入ったものである。記念になりそうなものだが、自動改札機で回収されてしまうので、手に持っている時間はほんの数十秒である。
ゴンドラから。
20分ほどでサントドミンゴ(Santo Domingo)に到着する。
K線からY線への乗り換えは駅構内でできるが、その逆は一回外に出なければならないようであった。
ここもスラム街の一部分なのだろうが、この付近は賑やかで、人通りも適度に多く、食堂もにぎわっており、悪い雰囲気ではなかった。駅前の通りだけ、少し歩いてみた。
2014/9/16:Metro:Linea K:Santo Domingo → Acevedo
その後、Santo DomingoからK線でAcevedoまで降りた。
Acevedoにて、Santo Domingo方を振り返る。
【2014/9コロンビア】(目次)
14,メデジン:ベリオ公園・アンティオキア博物館:2014/9/16【2014/9コロンビア】
15,メデジン:メデジンメトロ(2):メトロカブレK線・L線:2014/9/16【2014/9コロンビア】【←本記事】
16,メデジン:メデジンメトロ(3):メトロA線:2014/9/16【2014/9コロンビア】
【2014年9月のメデジンメトロの乗車記録】
13,メデジン:メデジンメトロ(1):2014/9/16【2014/9コロンビア】
15,メデジン:メデジンメトロ(2):メトロカブレK線・L線:2014/9/16【2014/9コロンビア】
16,メデジン:メデジンメトロ(3):メトロA線:2014/9/16【2014/9コロンビア】
21,メデジン:メデジンメトロ(4):メトロカブレJ線:2014/9/18【2014/9コロンビア】
24,メデジン:メデジンメトロ(5):メトロA線:2014/9/18【2014/9コロンビア】
26,メデジン:メデジンメトロ(6):メトロA線・B線:2014/9/18【2014/9コロンビア】
【ゴンドラの乗車記録】
19,ハルビン:太陽島:2012/3/31【2012/3中国・ロシア】