しなの鉄道線の屋代駅(長野県千曲市)から長野電鉄須坂駅(長野県須坂市)まで、長電バスが「屋代須坂線」を運行している。この路線は、2012年に廃止となった長野電鉄屋代線の代替バスであり、現在、屋代から須坂まで1日12往復のバスが設定されている(一部は途中の松代駅で乗り換えとなる)ほか、須坂駅から松代駅までの区間便も設定されている。屋代線の時代は両端の駅を含め13駅であったが、バスに転換されてからは停留所数が格段に多くなった。通しで乗ると、所要約1時間半である。
2021年9月26日日曜日。
今回は、屋代を9時10分に出発する屋代須坂線のバスに乗車することにした。
まず屋代駅へ向かう。長野を8時42分に出るしなの鉄道線直通軽井沢行きの列車に乗り、屋代に9時04分に到着した。
屋代駅に近づくと、屋代線の廃線跡が進行方向左側から合流する。
屋代駅の3番線のさらに向こう側に使われていないホームがあるが、こちらが長野電鉄屋代線のホームであった。
屋代駅。
2021/9/26:シンリク観光:屋代須坂線:屋代駅→松代駅
屋代須坂線のバスは、屋代駅のロータリーから出発する。
9時10分発の屋代須坂線松代駅行きのバスは既に到着して出発を待っていた。このバスは、終点の松代駅で、須坂駅行きのバスに接続する。
長電バスのウェブページで公開されている屋代須坂線の時刻表を見ると、一部の便で、運行会社の欄に「シンリク観光」と書かれている。シンリク観光は千曲市に本社を有するバス・タクシー会社であるが、2020年4月のダイヤ改正より、屋代須坂線の一部の便の運行を担当している。長野市のウェブページから第34回長野市地域公共交通会議(2020年2月20日)の資料を見ることができるが、それによると、長電バスの運転士不足のため路線維持が困難になり、屋代駅~松代駅間の一部の便の運行をシンリク観光に依頼したらしい。
9時10分発の松代駅行きは、そのシンリク観光による運行であった。長電バスの塗装であるが、シンリク観光と書かれている。長電バスが屋代須坂線の一部の運行をシンリク観光に委ねた際に、長電バスから車両が譲渡されたのだろう。
車両は、「長野200か1131」である。
車内を見る限り、些か古めのバスに見えた。
降車ボタンも年季の入ったものであった。
バスは、定刻9時10分に屋代駅を出発した。
この路線は屋代線の廃止代替路線であるから、基本的には屋代線に沿って、屋代線の各駅の跡地やその近くを走ることになる。長電バスのウェブページにある路線図を見る限り、屋代線の経路は、おおむね、国道403号やそれに沿うように通る道と一致するようである。
屋代線時代は、屋代から松代までは8.6kmであり、屋代を出ると、松代までの間に、東屋代、雨宮、岩野、象山口駅があった。屋代須坂線には東屋代という停留所はないが、屋代高校の停留所がそれにあたるのだろう。また、雨宮という停留所もないが、その代わりに、雨宮上、雨宮中、雨宮東と、雨宮を冠する停留所が3つある。さらに、その後、土口南、土口中、土口北と続く。バス転換時に停留所を増やしたのだろう。雨宮界隈から道幅が細くなり、土口界隈は特に道幅が細く、対向車との行き違いに気を遣うような道であった。
岩野は国道403号沿いに停留所があり、その後国道403号から離れ、象山口を経て松代駅へ向かう。
松代は、先日長野から松本へ行く高速バスに乗車した際に通った川中島古戦場や長野インターに近く、長野駅からアルピコ交通の路線バスで30分程度のところにある。
終点の松代駅前到着を知らせる自動放送では、乗り継ぎの際の運賃精算のことが触れられていた。現金で乗車する場合は、最終目的地までの運賃をこのバスで支払うと、乗り継ぎ券をもらえるという。要は、バスを乗り換えても、運賃面では通しで乗車したのと同じ扱いとするということである。
松代駅には9時35分に到着した。ここまでで屋代線全線のおよそ3分の1である。
今回は「ながでん鉄道・バス2DAYフリーきっぷ」を使用していたが、シンリク観光担当便でも、この乗車券は問題なく使用可能であった。
2021/9/26:長電バス:屋代須坂線:松代駅→須坂駅
松代駅の停留所は、長野電鉄屋代線松代駅の駅舎前であった。列車が来なくなって9年経つが、駅舎は残っていた。
松代駅では、6分の乗り継ぎ時間で、須坂行きのバスに乗り換えることができる。まもなく、9時40分発の須坂行きが入線した。こちらは長電バスによる運行である。
車両は、「長野200か1132」であった。
松代から須坂まで、屋代線時代は15.8kmで、途中に金井山、大室、信濃川田、若穂、綿内、井上の6駅が設けられていた。こちらの区間も、バス転換後は、各駅間に停留所がこまめに設けられている。
松代駅より先も、基本的には国道403号に沿って進むが、大室団地、大室駅の付近では国道403号から離れ、細い道を進んだ。大室駅を出ると、屋代線の廃線跡とおぼしきトンネルが見えた。
信濃川田駅は駅舎が残っていた。停留所名は川田駅である。
川田駅を出ると、領家、若穂病院、北野美術館、綿内駅と続く。若穂病院と北野美術館の停留所が、若穂駅の代替停留所なのだろう。このあたりでも国道403号から少し離れる。
綿内駅は2020年10月に駅舎が解体されており、駅舎やホームがあったと思われる場所は広場のようになっていた。
須坂長野東ICを経て、須坂が近くなってくると、井上を通過する。屋代線の時代は、須坂の一つ前の駅が井上であった。
須坂市役所、信州医療センターを経て、須坂駅には10時半過ぎに到着した。全線通しで乗車すると930円であるが、今回は「ながでん鉄道・バス2DAYフリーきっぷ」を使用しているので、それを提示してバスを降りた。
【2021年の長野電鉄乗車記録】
長野電鉄:観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」:2021/9/25
長電バス・シンリク観光「屋代須坂線」(長野電鉄屋代線代替バス):2021/9/26
【2006年の長野電鉄長野線・屋代線乗車記録】
【長電バスの乗車記録】
長野駅から須坂駅へ:長電バス「82 須坂屋島線」:2021/9/25