長野電鉄では特急料金を要する特急列車を運行しており、現在は1000系「ゆけむり」と2100系「スノーモンキー」のいずれかによって運行されている。
長野電鉄2100系は、2011年より長野電鉄で運用されている。もともとはJR東日本の特急成田エクスプレスで運用されていたJR東日本253系であり、新車E259系の導入に伴い運用を離脱した車両のうち、1991年に製造された3両編成2本が長野電鉄に譲渡された。
2本のうち1本は成田エクスプレス時代の塗装である。かつて「JR」と書かれていたところには、NERと書かれている。長野電鉄の英語名称である「Nagano Electric Railway」の頭文字であろう。
もう1本は新塗装となっている。
「スノーモンキー」という愛称は、長野県山ノ内町にある地獄谷野猿公苑の、冬場の雪の中で温泉に入るニホンザルにちなんだものだという。車体にもラッピングがなされている。
「スノーモンキー」の車内は、基本的には成田エクスプレスで運用されていた頃と変更はない。253系の成田エクスプレスにはグリーン個室が存在したが、長野電鉄でもそのままの形で残っている。個室は1室単位での販売で、1室1,200円である。A特急でもB特急でも、この個室に乗車する際は個室料金が必要である。せっかくなので、一度はこの個室に乗車することにした。
2021/8/8:長野電鉄長野線:A特急:長野→湯田中
2021年8月8日日曜日。
長野駅の窓口で、15時32分に長野を出るA特急湯田中行きの個室を出発15分前に購入した。なお、この個室も長野電鉄のウェブページから購入できる。なお、特急列車に乗車する際は特急料金100円も別途必要だが、今回は特急料金込みの「長電フリー乗車券」を使用している。
1号車の湯田中方に個室がある。
一番前のドアから乗車して、前の方に進む。
個室は、「個室指定席 Spa猿~ん」と名付けられている。
個室内部。
どっしりとした座席である。
座席はリクライニングはできない。ただ、肘掛けにあるスイッチで、座面を前方に出すことができる。その際に、背もたれの角度も少し緩やかになる。電動である。
最大まで座面を出してみた。
座ると、このような感じになる。さすが元グリーン個室であり、大変座り心地が良い。
個室のドアを閉めてみた。
個室内部にも案内表示器がある。
個室の荷物棚。ハットラックタイプである。
荷物棚の下には読書灯がある。
荷物棚の脇に、「液晶ガラス」と書かれたスイッチがある。
このスイッチを押すと、ドア脇のガラスが曇る。
15時32分に長野を出発した。この日は自由席もそこまで客が多いわけではなく、指定席はほとんど空席であった。
次の停車駅の権堂を出ると、車掌が検札に来た。
A特急は、権堂を出ると須坂まで停車しない。須坂には15時48分に到着した。
須坂を出ると、次は小布施である。小布施には15時55分に到着した。ここで、A特急長野行きと交換をする。本来であればあちらは1000系「ゆけむり」による運行であるが、この日の特急列車はすべて2100系「スノーモンキ」での運行であった。
信州中野には16時05分に到着した。
信州中野を出ると、終点の湯田中まで、最大で40パーミルの急勾配が続く。
夜間瀬川の鉄橋からの車窓。この日は雲がだいぶ低いところでかかっていた。これはこれで幻想的である。
終点の湯田中には16時17分に到着した。大変快適な40分であった。
さて、今回、2100系には何度か乗車したので、その際に撮った写真を含めて、車内の紹介をする。
乗車すると、まずデッキに行先表示器がある。
停車駅案内も掲示されている。
2号車と3号車には、集団見合い式のシートが並んでいる。成田エクスプレスで運用を開始した当初はボックスシートであったところ、2002年頃のリニューアル工事で集団見合い式に変更がなされた。当初のボックスシートの一部の向きを逆転させることで集団見合い式としたため、リクライニング機構などは装備されていない。成田エクスプレスで運用されていた頃には、これでA特急料金を取るのかと批判されていたシートである。
集団見合い式になったとはいえ、窓周りはボックス時代のままであり、座席と窓があっていないところがある。また、窓のシェードは、自分の所を下ろそうとすると、2列分まとめて下ろすことになる。
集団見合い式になったときに、テーブルが取り付けられた。
車内中央部はボックス席となっている。
頭上の荷物棚はハットラックタイプである。
荷物を置くスペースがデッキと車内の間に広く確保されている。
デッキ部には、もともとトイレや洗面所、電話が設置されていた場所がそのまま残っている。長野電鉄ではトイレや洗面所の設備は使用できず、電話も撤去されている。
元車いす対応トイレ。
元男子小用トイレ。
元洗面所。洗面台は撤去されている。
湯田中方の先頭が1号車で、この車両はA特急での運行の際には指定席となる。
この車両には2列+2列の転換リクライニングシートが備わっているほか、最前部には有料の個室がある。この車両は、成田エクスプレスで運用を開始した当初は1両全体がグリーン車として使用されており、2002年頃のリニューアル工事で、個室以外の部分が普通車に仕様変更された。そのため、同じ普通車でありながら、2号車・3号車とは座席の種類が異なる。
座席。
テーブルは一般的な背面テーブルである。
リクライニングの他、座席をスライドさせることができる。
手前が、リクライニングとスライドをさせた座席である。
もともとグリーン車であった車両を普通車としたため、シートピッチの関係で座席と窓があっていない箇所がある。
この車両の荷物棚は、蓋付きではなく、一般的なものである。
車内の電光表示器。
荷物置き場。
元公衆電話スペース。
元洗面所と元トイレ。
1号車は冷房使用時には弱冷房車となる。
最後に行先表示器である。湯田中行きの先頭車である1号車は電光表示である。
日本語と英語が交互に表示される。英語では"SNOW MONKEY"の文字が入る。
2号車と3号車は幕式である。こちらには「A特急」「B特急」と、特急の種類も表示される。
【2021年の長野電鉄乗車記録】
長野電鉄2100系「スノーモンキー」:2021/8/8
長野電鉄:観光案内列車「特急ゆけむり~のんびり号~」:2021/9/25
長電バス・シンリク観光「屋代須坂線」(長野電鉄屋代線代替バス):2021/9/26
【2006年の長野電鉄乗車記録】
【JR東日本253系のその他の乗車記録】
新宿から栃木へ:JR・東武直通特急:特急きぬがわ5号:2020/9/7