【前から続く】
哈爾浜を21時27分に出たK7023次は、綏芬河(スイフンガ)駅の1番線に7時33分に到着した。時刻表上では、この列車はここで2時間ほど停車し、9時半にロシアに向けて出発する。
車掌がロシアの入国カードを持ってくる。向かいのベッドに座り、カードを指しつつロシア語で説明する。よく分からぬが、これを書いてねと言ったのだろう。日本から持ってきた見本にしたがって記入する。
隣の客室のおばさんが来る。なぜか中国の出入国カードを持っている。書き方が分からないらしい。これはそもそも入国時に書くものであり、なぜ書いていないのか分からないが、書き方を教える。と言っても、私は英語は分かるがロシア語ができず、彼女は英語も中国語もできないので、日本語→ロシア語の指さし会話帳を使って、日本語を介してロシア語に訳すことになる。ただ、このおばさん、後で本当に親切にしてもらうことになった。
ちなみに、客の方は、相変わらず隣室のおばさんと私の2人だけであった。
デッキに出て、ホームの写真を撮る。車掌が出てきて何かを言う。写真を撮るなということではない。ホームには降りないでと言ったのだろう。
中国人のおばさんが乗ってくる。ロシア語をしゃべっている。果物を始め食料を積む。車掌と色々世間話のような話をして、積む物を積んだら最後には列車を降りていった。
8時38分、逆方向に動き出す。8時43分、引き上げ線に入り、一瞬停車する。次の瞬間には、逆方向へ動き出す。8時46分、停車する。機関車を連結したり切り離したりしているのだろう。時々ガクンという衝撃がある。そして、また逆方向へ動き出す。8時49分、停車してまた逆方向に動き出す。似たようなところを行ったり来たりしている。
8時55分、綏芬河駅に再び入線する。先ほどの隣のホームである。ここで制服を着た係官が乗ってくる。入国管理官であろう。中国語で何か言う。もちろん分からない。とりあえずパスポートを渡す。「日本人だったのか」といった感じで、その後は特に何も聞かれることはなかった。この係官は、私のパスポートを持って列車を降りて行ってしまった。不安になる。
その直後、お金を持った人も来て、こちらも何か言う。愛想は良いが言っていることは分からない。ルーブルを持っていたので両替商かと思ったが、ノートに「両替?」と書いてみせると、「25元」と書く。細かいお金を使い切るために、1元札を5枚、5元札を2枚、10元札を1枚出す。係官はにっこり笑いつつ、「黒龍江省政府非税収入定額票据 10元」と書かれた紙を3枚、つまり30元分渡される。出国税だったようであるが、きっちりやっているように見せていい加減である。
9時05分、瀋陽発の綏芬河行き快速2727次が、1番線ホームに到着する。帰国後に時刻表を確認すると、定刻15分早着であった。こちらの編成も長い。10両ほどだろう。2階建ての硬座車を4両連結している。
9時10分、入国管理官が再び乗り込んできて、再度パスポートの顔写真と顔を照合し、パスポートが返却される。出国カードは抜き取られ、出国スタンプが押されていた。スタンプを押すために駅構内の事務所に一度持っていったようであった。スタンプには「綏芬河」の字があった。これで中国を出国したことになる。
9時35分に綏芬河を出発し、グロデコボ(Grodekovo)へ向かう。列車番号はK7023次からNo.402に変わる。カーブの時に前方を見てみると、緑色の中国車が4両ほど繋がっている。綏芬河~グロデゴボの区間便のようであった。
9時42分に停車する。信号場である。すぐに出発する。
延々と山の中を走る。ループ線になっている。そのためか、速度は出ていない。徐行で進む。人家は見あたらない。時折建物はあるが、入国管理関係の施設かもしれない。所々車窓を撮っていたが、時折通りかかる車掌は「撮ってはダメだ」などとは言わない。安心して撮り続ける。
車内は昼間は電気がつかないので、トンネルに入ると真っ暗になる。
9時48分、車窓から、一瞬、石の塔が見える。キロポストと同じくらいの大きさである。中国側には「中国」、ロシア側には何かロシアの文字が書かれている。とっさのことで写真に撮ることはできなかったが、たぶんここが国境だろう。
中国とロシアは時差が3時間ある。中国時間から3時間ほど時計の針を進める。奇妙なことに、日本よりも極東ロシアの方が2時間進んでいるのである。12時52分、信号場で停車する。横にはロシアの貨物列車がいる。12時54分に出発。出発後、またループである。進行方向左側には、先ほどの信号場と貨物列車が見える。
車窓から。
13時12分、駅ではないところで停車する。ロシア人職員が乗り込んでくる。車両を見て回るだけで、客には声をかけない。13時22分に出発する。
いつの間にか、車両の天井カバーが開けられている。車掌が検査のために開けたようである。
13時30分、部屋に車掌が顔を出す。たぶん、荷物をまとめてコートを着なさいと告げたのだと思う。ロシア語だったので正確には分からぬが、身振り手振りなどから、多分そのように言ったのだろう。
13時40分、再び停車した。グロデコボであった。
綏芬河からグロデゴボまでは1時間5分、あっという間であった。
【2012/3中国・ロシア】(目次)
22,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(1)ハルビン駅:2012/3/31【2012/3中国・ロシア】
23,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(2)ハルビン~綏芬河:2012/3/31【2012/3中国・ロシア】
24,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(3)綏芬河~グロデコボ:2012/4/1【2012/3中国・ロシア】【←本記事】
25,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(4)グロデコボ駅:2012/4/1【2012/3中国・ロシア】
26,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(5)グロデコボ~ウスリースク:2012/4/1【2012/3中国・ロシア】
27,ハルビンからハバロフスクへ:中露国際列車(6)ウスリースク~ハバロフスク:2012/4/1【2012/3中国・ロシア】