南海高野線は、大阪市の汐見橋から和歌山県高野町の極楽橋までの64.5kmを結ぶ路線であるが、実際の運行における大阪側の始発駅は難波となっており、難波から高野山方面へ向かう路線として知られている。
2024/6/21:南海高野線:快速急行:天下茶屋→橋本
天下茶屋から、12時07分発の高野線快速急行橋本行きに乗車した。高野線の快速急行は、指定席料金が必要な特急列車を除くと最上位種別で、この列車の場合、始発の難波から橋本までの所要時間は48分、特急と比べても遜色のない所要時間である。
乗車した車両は南海6200系であった。(橋本にて撮影)
車内。
東急車輌で1981年に製造された車両であった。
車内では、「高野山極楽橋連絡、快速急行橋本行きです」との案内が流れる。終点の橋本では、すぐの接続で極楽橋行き普通列車に乗り換えることができ、極楽橋でもすぐの接続で高野山行きのケーブルカーに乗り換えることができる。
天下茶屋を出発した際には、車内は、全ての席が埋まるほどであったが、堺東、北野田、金剛、河内長野と進むにつれて、客は少しずつ減っていく。
12時43分に林間田園都市に到着した。この辺りには、南海電鉄が開発した南海橋本林間田園都市というニュータウンがある。駅付近にはマンションが多いようであるが、自然と隣り合わせという感じの立地に見える。
終点の橋本には12時50分に到着した。
2024/6/21:南海高野線:観光列車「天空」:橋本→極楽橋
快速急行を降りたホームの反対側には、12時53分発の普通極楽橋行きが停車している。この列車に乗れば、13時48分に極楽橋に到着し、接続するケーブルカーに乗り換えると14時過ぎに高野山に到着する。
ただ、南海高野線の橋本~極楽橋間には、「天空」という観光列車が走っている。3月~11月の間は、水曜日・木曜日を除く毎日運行ということで、本日も運行日である。運行本数は、平日2往復、土・休日は3往復である。
乗車にあたっては、基本は専用フリーダイヤルからの電話予約が必要であるが、橋本駅のホーム上にある「指定券引換所」では、空席がある場合に限り当日券が販売されている。聞いてみると、次の13時30分発の列車に空席があったので、座席指定券を購入した。520円也。なお、天空には自由席車両も連結されており、こちらであれば座席指定券は不要である。
なお、この指定券引換所の営業時間は、橋本駅発の場合、橋本駅発車時刻の40分前〜10分前とのことである。したがって、平日13時30分橋本発の「天空」に乗車する場合は、遅くとも、今回私が乗車した難波12時02分・天下茶屋12時07分発の快速急行に乗る必要がある。
「天空」の指定券が手に入り、出発まで30分ほど時間があるので、一回駅の外に出てみた。橋本駅は、JR和歌山線と南海高野線が乗り入れており、駅の入口にも両方のロゴが入れられている。
駅の跨線橋から難波方を見る。左側2面3線がJR和歌山線、右側1面2線が南海高野線である。
駅に繋がる細い道を進む。
すぐに幹線道に行き着く。
幹線道の向こうには、紀ノ川が流れる。今朝の雨の影響か、水量が多く、濁っている。
向こう側に見えるのは南海高野線の鉄橋である。
極楽橋からの特急こうや4号が鉄橋に差し掛かった。
13時10分過ぎに駅に戻る。
ちょうど13時30分発の極楽橋行き「天空」が入線するところであった。
橋本寄りの2両は自由席車で、2000系2両編成が充当されている。
車内はロングシートである。
連結面にボックスシートがあり、優先座席の扱いとなっている。
極楽橋寄りの2両が「天空」である。こちらは2200系の改造車である。
ヘッドマークが取り付けられている。
行先表示。
側面の行先表示。
「天空」の座席は大きく3種類に分かれており、1つは車内の大半を占める窓向きの「ワンビュー座席」である。
モケットにはモリアオガエルと極楽鳥が描かれている。
2つめは「先頭展望席」である。
3つめは車端部の「4人掛けコンパートメント座席」である。
また、この車両の特徴として、ドアの内側に柵を取り付けた展望室が設置されていることが挙げられる。この柵があるため、走行時、この部分のドアは開けっ放しである。
スタンプ台。
乗車記念証。
裏側にはパノラマポイントを記した地図とスタンプを押すスペースがある。
ドア上には沿線の案内マップがある。
さて、この橋本駅は標高92mであり、これから向かう極楽橋駅は標高535mである。特に高野下駅より先は50パーミルの勾配、半径100m以下のカーブが続く区間となり、まさに登山鉄道である。南海電鉄も複数の車両を保有しているが、この区間に乗り入れることのできる車両は、急勾配に対応した、1両の長さも一般的な車両よりも短い17m級の編成に限られている。この区間に対応した車両のことを南海電鉄では「ズームカー」と呼ぶが、これは、平坦区間から山岳区間まで広い範囲で速度制御ができる性能を、広角から望遠まで広範囲に画角が変えられるカメラのズームレンズにたとえたのだという。
南海電鉄は、同様に急勾配があり登山鉄道の性格を有する神戸鉄道、富士山麓電気鉄道、大井川鐵道、叡山鉄道、小田急箱根、アルピコ交通と共に、全国登山鉄道‰会の一員である。
「天空」は2009年の運行開始であるが、車両自体は東急車輌で1970年に製造されている。
出発10分ほど前に、添乗員に連れられたツアー客が、2号車に誘導される。どうやら、この日は1号車が一般客、2号車が団体客という割り当てだったようである。1号車の客は、私を含めて2人だけであった。
列車は、橋本を定刻13時30分に出発した。橋本から極楽橋までの停車駅は学文路と九度山のみで、極楽橋まで所要34分である。
橋本を出ると、紀ノ川を渡る。
紀伊清水駅を通過する。
車窓から。
最初の停車駅である学文路には13時37分に到着した。「学文路」と書いて「かむろ」と読む。
学文路の次は、九度山に停車する。ここで数名の乗車があった。途中駅からの乗車で「天空」の指定券を持っていない客には、車掌が指定券を販売をする。
山の中に入っていく。
高野下を13時43分に通過すると、本格的な山岳区間に入る。50パーミルの勾配、半径100m以下のカーブが続く区間となり、制限速度は時速33kmだという。ここから極楽橋まではわずか10.3kmであるが、この列車は約20分かけて進む。
下古沢駅
上古沢駅。
車窓から。
紀伊細川駅。
車窓から。
紀伊神谷駅。
終点の極楽橋には14時04分に到着した。
2024/6/21:南海鋼索線:極楽橋→高野山
極楽橋駅では、連絡通路を通って、南海鋼索線(高野山ケーブル)乗り場へ進む。高野山行きのケーブルカーは、高野線の列車に接続しており、すぐの14時10分の出発である。
「はじまりの聖地、極楽橋」「俗世と聖域を、結ぶ橋」とある。
ケーブルカーに乗車する。
車両(帰路に高野山駅で撮影)。2019年に新造された車両で、車体はスイスのCWA社製とのことである。
車内。
LCDの案内表示器が設置されている。
「天空」の客が全員乗り換えるため、2両編成のケーブルカーには立ち客も多かった。
定刻14時10分に極楽橋駅を出発した。高野山駅までの距離は0.8kmであるが、極楽橋駅の標高539m、終点の高野山駅は867mで、標高差は328mである。最急勾配は568.2パーミルとのことであった。
高野山には14時15分に到着した。
2024/6/21:南海りんかんバス:高野山駅→千手院橋
南海高野線と鋼索線に乗車したことで旅の目的は果たしているので、このまま帰ろうかとも思ったが、さすがに金剛峯寺も見ずに帰るのもいかがなものかと思い直し、すぐの14時18分に出発する奥の院行きの南海りんかんバスに乗車した。
バスは高野山駅を出ると、バス専用道に入る。カーブが連続する区間を進み、女人堂を経て、14時30分、千手院橋に到着した。運賃は360円也。支払いは、Suicaをはじめとする交通系ICカードのほか、クレジットカードのタッチ決済にも対応している。
バスの進行方向とは反対方向へ歩く。
バスを降りて5分ほどで金剛峯寺に到着した。拝観料1,000円を払って、中を見学した。
2024/6/21:南海りんかんバス:千手院橋→高野山駅
金剛峯寺を50分ほどかけて拝観した後、千手院橋の停留所に15時半頃に戻ってきた。ここから、すぐに到着した高野山駅行きのバスに乗車した。臨時便を随時運行しているようで、乗車したバスの行先表示には「臨時」と書かれていた。
バスに乗車して15分ほど、15時45分に高野山駅に戻ってきた。
【2024/6関西】(目次)
3,南海加太線:7100系「めでたいでんしゃ さち」:2024/6/21【2024/6関西】
4,南海多奈川線:2200系:2024/6/21【2024/6関西】
6,南海高師浜線:2230系:2024/6/21【2024/6関西】
7,南海高野線(汐見橋線):2230系:2024/6/21【2024/6関西】
8,大阪から高野山へ:南海高野線・観光列車「天空」:2024/6/21【2024/6関西】【←本記事】
9,高野山から大阪へ:南海高野線:特急こうや8号:31000系:2024/6/21【2024/6関西】
10,大阪から関西空港へ:南海本線・空港線:特急ラピートβ65号:50000系:スーパーシート:2024/6/21【2024/6関西】
【その他の南海電鉄の乗車記録】
8,和歌山市から和歌山港へ:南海和歌山港線:7100系「めでたいでんしゃ かしら」:2023/12/29【2023/12四国】
7,難波から和歌山市へ:南海本線:特急サザン29号:指定席(10000系):2023/12/29【2023/12四国】