2011年8月14日日曜日。この日は、アムトラックでカナダのバンクーバーまで足を伸ばしてみた。
5時30分、モーニングコールで起きる。6時、前日に予約していたシャトルバスで空港へ向かう。空港までの客が何人かいる。運転手には航空会社を聞かれたが、「シアトルのダウンタウンに行く」と言うと、先日同様、リンクライトレール(Link light rail)のシータック・エアポート(SeaTac/Airport)駅で降ろしてくれた。
2011/8/14:Sound Transit:Link light rail:Central Link:SeaTac/Airport→International District/Chinatown
6時19分のウエストレイク(Westlake)行き始発列車に乗車してインターナショナルディストリクト・チャイナタウン(International District/Chinatown)まで向かう。始発電車だが、客は多い。
乗車券。

ベーコン・ヒル(Beacon Hill)駅でサウンドトランジット社(Sound Transit)のシャツを着た係員が数人乗り込んできて、一斉に検札を行った。私のように切符を持っている人はそれを係員に見せることになるが、大半は、係員の持つ端末にICカードをかざしていた。このICカードはORCAカードというらしい。鉄道に限らず、バスでも使える、日本で言ういわばスイカのようなカードらしい。シアトルで生活するのであれば必需品であるという。
インターナショナルディストリクト・チャイナタウンには6時55分頃に到着した。アムトラックのキングストリート駅へ移動する。
駅前にはトロリーバスが走っていた。

2011/8/14:Amtrak Cascades 510:Seattle→Vancouver
キングストリート駅。アムトラックの列車はこの駅から出発する。

駅の中には人が多い。7時30分にカスケーズ501列車ポートランド行き、7時40分にカスケーズ510列車バンクーバー行きが相次いで出発するからであろう。さらに、構内は工事中ということもあり、かなり狭く、雑然としているように感じられた。ただ、そのような中でも、風格が感じられる駅舎であった。



私が乗るのは、7時40分発のカスケーズ510列車バンクーバー行きである。乗車券は既にアムトラックのWEBで購入していた。窓口でEチケットを提示すると、往復の乗車券を発券してくれる。乗車券は、一世代前の航空券と同じ形である。ちなみに、往路は列車だが、帰りはバスで予約している。料金は、往路の列車が$32.30、復路のバスは$34、共にISIC(国際学生証)割引適用後の運賃である。
乗車券をもらって終わりではなく、チケットを持って座席指定のカウンターに並び直し、座席指定を受ける必要がある。バンクーバーまでの客とアメリカ国内の客で並ぶところが分けられており、バンクーバーまでの客の列はなかなか進まない。パスポートチェックもあるからであろう。順番になり、チケットとパスポートを見せると、VACと書かれた短冊状の紙が渡される。その紙には、シート番号の書かれたシールが貼られている。ここの係員は車掌であった。
カスケーズ510列車バンクーバー行きは、7時30分に乗車開始となる。乗車券を切ってもらい、ホームに出る。

ところで、列車名の「カスケーズ」とは、西海岸沿いを南北に走るカスケード山脈からとられている。アムトラック・カスケーズが走るのはポートランドからシアトルを経てバンクーバーまでであり、相応しい名称といえよう。
列車は駅舎寄りのホームに停車している。先頭に機関車、その次に荷物車、そして客車が続く。数えてはいないが、10両程度の客車が連結されていた。台車は連結面に車輪があるいわゆる連接台車である。詳細な構造については分からないが、連接台車ゆえなのだろう、客車は1両の長さが極端に短い。
車両は、カスケーズ号のロゴが入っている。

キングストリート駅のホームは低く、乗降口には踏み台が用意されている。

指定された5号車に乗車する。

ドア。

連結面。

5号車はコーチ(coach・普通車)であり、座席は2+2の配置である。席は転換リクライニングシートで、進行方向一番前の席をのぞいて前向きである。

車端部の座席は転換できないらしい。

頭上の読書灯及びエアコン。

車内にはモニターが備え付けられており、列車の編成や停車地の案内が行われている。

5号車24番の席は通路側であった。窓側には既に客がいる。通路側だと車窓を写真に撮るのは大変だが、一方で車内を歩くのには気兼ねがいらない。シートの上に、駅で渡された短冊状のカードを差し込む。隣人のカードにはBELとかかれている。ベリングハム(Bellingham)のことである。

座席は座り心地の良いリクライニングシートだが、シートピッチは大して広くない。

座席前のポケットには安全のしおりが入っている。

トイレは、1両に1つ設置されていた。

カスケーズ510列車バンクーバー行きは、定刻7時40分にシアトルのキングストリート(King Street)駅を出発した。出発後すぐにトンネルに入り、トンネルを出ると、進行方向左手には太平洋が広がる。


朝食を食べていなかったので、3号車の"Bistro Car"に向かう。メニューは、サンドイッチ、ホットドック、ピザなど、色々とある。朝飯を車内でという人は多いようで、既に長い列ができている。ここでホットドックと水を注文する。食事は席に持ち帰っても、"Bistro Car"で食べても良い。"Bistro Car"に空席があったので、ここで食べる。味であるが、ソーセージが口に合わなかった。

列車は、意外にも定刻で運行している。ちょうど食事を始めたときに、エドモンズ(Edmonds)に停車する。8時07分である。その後、エバレット(Everett)には8時30分、スタンウッド(Stanwood)に9時03分、マウント・バーノン(Mount Vernon)には9時20分、ベリングハム(Bellingham)には9時52分に到着する。各駅でぱらぱらと乗降があるが、ベリングハムでは多くの客が降りていく。




ベリングハムがアメリカ合衆国内最後の駅で、ここを出ると、列車は終点バンクーバーまで客扱いをしない。
列車は淡々と進む。いつの間にか、車窓風景でカナダの国旗が目立つようになる。カナダに入っていたようである。








バンクーバーに近づくと、鉄道の立体交差がある。


バンクーバーのパシフィック・セントラル駅には定刻16分早着の11時24分に到着した。ただ、すぐに降りられるわけではない。入国審査場に続く通路が狭いため、車両ごとに客を降ろしているらしい。5号車の客は、11時50分頃まで車内で待機させられる。
列車は、両側を高いフェンスに囲まれたホームに停車していた。本格的な国境の駅である。

カスケーズ号の荷物車。

カスケーズ号の機関車。

入国管理官が少ないので、結構待たされたが、カナダの入国審査はアメリカに比べれば遙かに楽だった。訪問目的を聞かれたので、アムトラックの往復のチケットを見せて、「列車が好きなので、この列車に乗りたかったのだ。ホテルはシアトルにとっており、今日シアトルに戻る。チケットも持っている」と言うと、すんなりとスタンプを押してくれた。
入国審査が終わると、もう12時半近かった。

【2011/8アメリカ合衆国】(目次)
10,シアトル:サウスレイクユニオンストリートカー(South Lake Union Streetcar):2011/8/13【2011/8アメリカ合衆国】
11,シアトルからバンクーバーへ:アムトラック・カスケーズ(Amtrak Cascades)510列車:2011/8/14【2011/8アメリカ合衆国】【←本記事】
12,バンクーバー:スカイトレイン:2011/8/14【2011/8アメリカ合衆国】