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3,とよま:みやぎの明治村:2011/2/12【2011/2宮城】

投稿日:2019年7月6日

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登米町は、かつては独立した町であったが、2005年の町村合併によって登米市の一部となり、「登米(とめ)市登米(とよま)町」となった。同じ漢字を使うのに市名と町名で読み方が異なるので紛らわしい。東日本急行は登米市役所のある迫町の佐沼にもバスを出しているので、「登米」と「とよま」で行き先を使い分けている。

この登米町であるが、キャッチコピーが「みやぎの明治村」であり、その名のとおり、明治時代の建物もいくつか現存している。

バスを降りて、まず向かいにある観光物産センター「遠山之里」に行く。ここに観光案内所がある。

この観光案内所で、5つの観光施設に入館することができる5館共通入館券を購入する。通常料金は800円であるが、冬季は650円であった。また、観光パンフレットももらう。

 

教育資料館(旧登米高等尋常小学校校舎)

まず、物産センターに隣接する、教育資料館へ行く。ここは昔の登米高等尋常小学校の校舎を利用した資料館である。1888年(明治21年)に建てられてた木造2階建ての洋風建築で、「コ」の字型に作られている。このような建物が残されている例は珍しいのか、国指定の重要文化財となっている。

六角形を半分にした形の昇降口から建物に入る。この部分を作るのはかなり大変だったらしい。

まず、登米の歴史についての資料を展示してある部屋から見る。登米(とよま)は、774年の『続日本紀』の中の「遠山村」が語源らしい。また、後に分かることであるが、「登米(とめ)」というのは、明治時代に中央の役人が「登米(とよま)」を「とめ」と誤読したところから来ているらしい。

建物の内部には、再現教室はもちろん、校長室、戦前の教育の歴史についての資料室、戦前から現在にいたるまでの教科書が置かれた資料室、校舎の建設を行った山添喜三郎氏や改修工事に関する資料室などがある。展示はかなり充実している。

仙北鉄道についての展示も少しある。仙北鉄道は、登米線(瀬峰~登米)と築館線(瀬峰~築館)の2つの路線からなる軽便鉄道であった。登米線は1921年に開通し、1968年の廃止までの47年間鉄道を走らせていた。当初は瀬峰から登米までの26.8kmを3時間かけてのんびりと走っていたらしい。

40分近くかけて、のんびりと校舎を見て歩く。来てよかったなと思う。

 

伝統芸能伝承館

教育資料館を40分ほど見学した後、次ぎに伝統芸能伝承館に向かう。教育資料館の背後に現在の登米小学校があり、その横が登米高校である。

高校の脇を通り、道案内の通りに進むと、伝統芸能伝承館に着く。教育資料館からだいたい10分程度だろうか。

小さな展示室では、登米で昔から伝わってきた能についての説明、および着物やお面などが展示がなされている。登米では、江戸期は武士の娯楽であった能が、明治期になって武士が帰農した結果、農民の娯楽となり、今日まで承け継がれているとのことである。

展示室の裏側には能の舞台がある。毎年9月にはここで能が上演されるらしい。係員の説明だと、ここでは、プロではなく一般人が能を演じるから料金が安いとのことである。ぜひ来て下さいと言われる。

 

伝統芸能伝承館を出て物産センターに戻ると、ちょうど12時であった。お腹もすいてきたので、物産センター内にあるレストランで昼飯を頂くことにする。登米の名物という「油麩丼」を注文した。600円也。

見た目はこってりとした感じであるが、油麩は非常に軽く、意外とあっさりとしていて美味しかった。

なお、登米町には、油麩丼を食べることができるお店が何軒もあるという。

 

昼食後も町歩きを続ける。

 

アンティーク資料館

登米には蔵が多い。その中の一つである伊新薬局には、アンティーク資料館が併設されている。

薬局に入り、店のおじいさんに資料館を見たい旨を告げ、入れてもらう。入館料は200円。蔵の中に入ると、所狭しと展示品が並んでいる。おばあさんが後から来て、展示品や登米について説明してくださる。

今は薬局であるこの店だが、昔は、呉服商、油や塩の販売、薬業など様々な商売を営んできたらしい。それぞれの商売で用いた証書や資料、器具、道具、ポスターなどは、その大半を蔵の中にそのまましまっておいたようで、それらを整理して展示したのが、この資料館であるとのことであった。

全体的には薬の説明書やポスターが多いが、展示物は多種多様である。古くは明治期、大正期の資料・ポスターもあるが、驚くほど綺麗に保管されている。蔵の中は湿気がなく、さらに火災などの災害の被害を受けることがないため、このように綺麗に保存されているらしい。中には、日本初のヌード写真のポスターのように、写真でしか見たことのない、その当時が偲ばれるポスターなども現物を展示しており、驚いた。その他、この薬局が製造・販売していた淋病の薬に関する資料、漢方薬の材料、昔の医療器具、ダンボール箱、秤などなど、今まで見たことがないものも多数展示されていた。また、カルピスとかボラギノールなど、今日売られている薬や健康飲料の中には、戦前から延々と売られてきた物もあるということをはじめて知った。

なんとなく立ち寄った資料館であったが、色々と興味深い資料をみることができ、かつ興味深いお話をうかがうことができ、非常に充実した時間であった。

 

引き続き町歩きをする。

 

警察資料館(旧登米警察署)

警察資料館に向かう。この建物は明治22年に登米警察署として建てられた物で、建築者は登米高等尋常小学校と同じで山添喜三郎氏である。白壁が美しい。登米高等尋常小学校と同様、バルコニーがある。この建物は、県指定の重要文化財である。

中に入ると、旧型ではあるが本物のパトカーと白バイが展示されている。実際に乗ることもでき、「どうぞ乗ってみて下さい」と言われる。

2階には、明治時代、違式詿違條例で定められた犯罪(今で言う軽犯罪に当たる)を絵で表した物が展示されている。明治時代に字が読めない人のために、絵で表したとのこと。真面目な資料であるが、絵がなかなか滑稽で面白い。

その他、警官の制服の変遷など、警察関係の資料が何点か展示されている。また、1階には木造の留置場も再現されており、こちらもなかなか興味深いものであった。

ところで、警察の資料館というのはあまりないような気がする。なにかのイベントの時にこのような展示がなされることはあろうが、常設でこのような展示を見ることができるという点では、なかなかありがたい資料館だと感じる。

 

水沢県庁記念館(旧水沢県庁庁舎)

観光マップに沿って歩き、物産センターの向かい側にある水沢県庁記念館へ行く。

登米に県庁というのは今から考えるとよく分からないが、まず明治4年の7月に登米県ができた。その後、同年8月に廃藩置県が実施され、同年11月に登米に一関県の県庁が置かれることとなる。そして、同年12月に水沢県と改称される。明治の廃藩置県の頃の県の整理統廃合のゴタゴタがまさにあらわれているような感じである。

旧水沢県庁舎は、明治5年6月に開庁した。ただ、登米は北上川の氾濫による洪水が度々起こったことから、水沢県の県庁はたった4年後の明治8年には一関に移されることとなる。そして、後に水沢県は磐井県と改称されるに至った。

県庁の建物は、その後小学校として、旧登米高等尋常小学校が落成するまで使用された。さらにその後、明治21年、石巻治安裁判所登米出張所が登米にできた際、その出張所の建物として使用されるに至った。

説明によると、登米に裁判所を持ってくるのにはかなり苦労したらしい。明治20年の段階で、登米村は石巻治安裁判所の管轄であったわけであるが、石巻から登米までは30km以上あるので、そう簡単に行ける距離ではない。そのため、色々と嘆願をして、旧県庁舎の敷地の献納を約束して、登米に裁判所を引っ張ってきたらしい。当時の嘆願の資料が展示されていた。

石巻治安裁判所登米出張所であるが、これは明治23年に登米区裁判所に改称された。区裁判所は軽微な刑事・民事事件の第1審と、登記事務等を行う裁判所である。裁判官は一人で、色々とこなしていたようである。

当時の法定を再現したスペースもあり、なかなか興味深かった。

 

登米懐古館

最後に、登米懐古館に向かう。物産センター「遠山之里」の裏手の丘の上にある。

登米伊達氏をはじめとして、登米に縁のあるものを整理して展示したのが、この懐古館であるとのこと。私自身としては、このような類は一見するだけで良いという人間なのであまり詳しいことは分からないが、たぶん歴史が好きな人は楽しめるだろうと思う。登米藩と涌谷藩の間の領地争いから始まったとされる伊達騒動についての説明は分かりやすく、面白かった。

 

観光しようと思っていたところを一通り見終え、物産センター「遠山之里」に戻る。何か買っていこうかなと思い、「登米粉めん」という、「登米」と「米粉」をあわせただけの安直だがインパクトのあるネーミングの麺を購入する。期間限定で、2つセットで200円也。

 

【2011/2宮城】(目次

2,仙台からとよまへ:東日本急行「仙台-とよま線」:2011/2/12【2011/2宮城】

3,とよま:みやぎの明治村:2011/2/12【2011/2宮城】【←本記事】

4,とよまから仙台へ:東日本急行「仙台-とよま線」:2011/2/12【2011/2宮城】

 

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