かつては都内から郊外の多方面に向けて、各社が深夜急行バスを運行していたが、新型コロナウイルス感染症の流行によってそのほとんどが運行休止となった。幸いにも感染症の流行は落ち着いたが、今度はバス会社の運転手不足、バス運転者の改善基準告示の改正などが相まって、依然として休止状態のままの会社、路線を廃止した会社も多い。そのような中、2021年12月、深夜急行バスの運行を早々に再開し、現在まで運行を続けているのが、西武バスである。
西武バスの深夜急行バスは、「Midnight S-tarmine(ミッドナイト・スターマイン)」という路線名で、25時に池袋駅を出発して、主に西武池袋線沿線にこまめに停車しつつ、1時間40分かけて小手指まで向かう。2024年5月現在、西武池袋線の最終電車の時刻を確認すると、準急小手指行きが24時14分、各駅停車保谷行きが24時18分であるから、バスの出発は終電が出てから約40分後である。運行日は月曜日から金曜日の毎日であるが、祝日、お盆期間、年末年始の運行はない。
予約は発車オーライネットで可能である。注意しなければならないのは、乗車日を実際に乗車する日にしなければならないことである。当たり前のことではあるが、一瞬戸惑う。25時発とは、要は翌日1時発であるから、例えば5月2日の晩の便に乗ろうとするならば、乗車日は5月3日にしないといけない。
今回は、このバスに乗車することにして、出発2時間前に発車オーライネットで予約をした。池袋駅から小手指駅北口までの運賃は2,410円である。西武池袋線に乗車すれば387円の区間であるが、ホテルに泊まることを考えれば十分に安い。座席指定をすることができ、座席表を確認したところ、この時点ではまだ5,6席ほどしか予約されておらず、ほとんどが空席であった。
2024/5/3:西武バス:深夜急行バス Midnight S-tarmine:池袋駅東口→小手指駅北口
2024年5月2日木曜日の深夜、すでに0時を回っているので3日金曜日となっているが、山手線で池袋へ向かう。
0時30分に池袋に到着した。
小手指行きの深夜急行バスは池袋駅東口の西武高速バス乗り場から出発する。池袋駅は西口が東武、東口が西武である。
池袋駅東口を背に少し歩くと、西武高速バス乗り場がある。
15分ほど前に行くと、既にバス停の周りには20人以上がバスを待っていた。
深夜急行バスの案内板が掲げられている。
0時50分にバスが到着した。
運転手の案内で、まずは予約客から乗車となる。2時間ほど前に予約した段階ではほとんどが空席であったが、それから予約が相次いだようで、窓側席はすべて予約で埋まっていた。
車内は横4列シートで、後部にトイレが設置されている。(後ほど撮影)
座席。コンセントやUSB充電ポートは設置されていない。
乗車すると、指定した座席には「ご予約席」と書かれたラミネート紙が置かれていた。
予約客が一通り乗車した後、予約していない客の改札が始まる。発券と座席指定を一人ずつ行う関係で、出発時間になってもまだ列はできている。
結局、池袋駅を出発したのは1時10分であった。車内はほぼ満席である。
出発をすると、運転手が案内放送を行った。座席と降車場所は運転手で把握しているから、寝ている場合は声がけをする旨、ただ、何度か声かけをしても起きなかった場合は他の客もいるから出発すること、乗り過ごしの場合は追加料金がかかる場合もあることが案内される。
バスは、明治通りを学習院下まで進み、そこで右折して新目白通りに入る。山手線の高架下を通り、下落合付近までの僅かな間は、西武新宿線に沿って進む。
目白通りに入り、練馬区役所を経て、1時36分、最初の停留所である谷原二丁目に到着した。早速ここで3名降りる。隣客もここで降りていった。
1時40分、石神井公園駅北入口に到着した。誰も席を立たない。運転手が客を起こしに来る。次いで、1時46分、大泉学園駅に到着した。ここでも運転手が客を起こしに回る。5名ほど降りていった。池袋駅から大泉学園駅までは1,150円である。西武池袋線であれば252円の区間である。
1時51分に南大泉、1時55分に保谷駅に停車し、客が降りていく。保谷小学校では降車客がいなかったため停車しない。
2時04分にひばりヶ丘駅に到着した。
ひばりヶ丘駅を出ると、バスは西武新宿線の田無駅の方へ進み、2時10分に住友重機械工業前、2時12分に北原住宅に停車する。その後、2時18分に第三住宅、2時27分に東久留米総合高校、2時30分に清瀬駅入口と、再び西武池袋線の方へ戻る。それぞれの停留所で数人ずつ客が降りていく。時折、運転手が車内を回って、客を起こす。
さすがに眠くなり、まどろんでいると、2時50分に所沢駅西口に到着した。もう客は10名もいない。
2時56分に西所沢駅入口に停車した後、3時03分に新所沢駅西口に到着した。新所沢駅は西武新宿線の駅である。
終点の小手指駅には3時10分に到着した。定刻は2時40分であるから30分遅れでの到着であった。小手指まで乗車したのは3名であった。
バスは、客を降ろすと、駅のロータリーの中に停車した。
この日の車両は、三菱ふそうエアロ・エース、「練馬200か3532」であった。
小手指駅に用があって来たわけではないので、後は帰るだけであるが、小手指駅から池袋への始発列車は4時53分である。小手指駅北口には24時間営業のすき家があったが、ここで1時間半ほど時間をつぶすのは難しい。
小手指駅北口から10分ほど歩いたところに快活CLUB所沢小手指店があるので、そちらに向かうことにした。駅に繋がる通りを真っ直ぐ歩く。
突き当たりを右折して少し行くと、快活CLUB所沢小手指店に到着した。
フラットシートを指定し、そこで横になる。始発までと思っていたが、気がついたら3時間ほど経過していた。7時頃にチェックアウトをして、東京へ戻った。
【深夜バスの乗車記録】