高蔵寺駅から大曽根までは、名古屋市交通局が運行する「ゆとりーとライン」と呼ばれるバスに乗車する。
このバスは、高蔵寺から途中の小幡緑地まで普通の路線バスとして運行するが、小幡緑地からは高架に上がり、大曽根まで専用軌道を走る。専用軌道では、バスは側壁に設けられた案内軌条(ガイドウェイ)に従って進行する。このように案内軌条に従って運行する形態のバスを「ガイドウェイバス」という。
ガイドウェイバスにはかつてオーストラリアのアデレードで乗ったことがある。その他、ドイツやイギリスでもあるらしいが、世界的に見ても珍しい方に位置づけられる輸送システムであると思う。
【→アデレードのガイドウェイバスの乗車記録はこちら】
案内軌条に従って進行するという構造ゆえか、日本では、ガイドウェイバスに軌道法が適用され、つまり法律上は鉄道の一種として扱われることになる。そのため、運転手には、大型二種免許のほか動力車操縦者の免許が要求されるという。ここまでいくと、杓子定規に過ぎる感はある。
名古屋でガイドウェイバスが開業したのは2001年3月23日であった。専用軌道を運営するのは名古屋ガイドウェイバスという会社で、小幡緑地から大曽根までは、名古屋ガイドウェイバスのガイドウェイバス志段味線という路線である。当初は、名古屋市交通局、ジェイアール東海バス、名鉄バスの3社がガイドウェイバスの運行を行っていたが、2009年に後2社が撤退し、それ以降は名古屋市交通局が単独で運行を行っている。
ガイドウェイバス志段味線を経由するバスには、「ゆとりーとライン」という愛称が付けられている。「ゆとり」と「ストリート」をあわせた造語とのことである。
2019/3/19:ゆとりーとライン:高蔵寺→大曽根
ゆとりーとラインには何系統かあり、高蔵寺と大曽根を結ぶ系統は、日中は30分に1本の運行である。次の大曽根行きのバスは12時発である。
11時50分過ぎ、バスが到着する。見た目は普通の路線バスであるが、バスの前後には、専用軌道を走行する際の案内輪が取り付けられているのが見える。
空いていたので、一番前の席に座る。
定刻に高蔵寺を出発する。
小幡緑地までは普通の路線バスである。
12時30分、小幡緑地駅の手前に到着する。一時停止をして、案内輪を出す。バーが上がり、バスが走り始める。ここからは、バスは案内軌条に誘導されるので、運転士はハンドルを握らない。高架に上り、小幡緑地駅に到着する。
小幡緑地から大曽根までの高架区間が、名古屋ガイドウェイバスの「ガイドウェイバス志段味線」である。運転士は、鉄道運転士として「制限50」とか「制限解除」などと指差喚呼を行う。
線内の最高速度は時速60kmだっただろうか。専用軌道を走っているということを考えると物足りない感もあるが、路線バスの車両で時速60kmというのは早いとも思う。ガイドウェイ区間の各駅では乗車が多い。大曽根に到着したときには立ち客でかなりの混雑となっていた。
大曽根駅に進入する。
大曽根駅には12時40分に到着した。
大曽根駅のバスの待機所。ここではガイドウェイから外れることになる。
大曽根駅以外での降車に際しては、通常のバスと同じで前ドアで精算をすることになるが、大曽根駅では駅で精算するという。前後のドアが開けられる。
エスカレーターを降りたところに、改札口があり、バスの運賃箱と同じものが2台設置されていた。普段利用する人からすれば日常の光景なのだろうが、なかなか見慣れないものであった。
運行開始から18年とのことである。
名古屋ガイドウェイバス大曽根駅入り口。
【2019/3中部】(目次)
5,高蔵寺から大曽根へ:ゆとりーとライン:2019/3/19【2019/3中部】【←本記事】
6,勝川から県営名古屋空港へ:あおい交通:2019/3/19【2019/3中部】