さて、コペンハーゲン中央駅に戻り、荷物預かり所で荷物を引き取り、飲み物を購入した後で、7番線ホームへ行く。
今夜の宿は、スイス、バーゼルSBB行きの夜行列車シティナイトライン(City Night Line:CNL)である。せっかくなので、奮発して1等シングルエコノミー寝台を購入していた。インターネット購入、早期割引、払い戻しができないなどの制限付きの運賃で、1人139ユーロであった。購入当時は1ユーロ100円だったので、日本円にして14000円程度である。乗車時間が16時間であること、無料の朝食がつくことを考えれば、そこまで高いわけでもないと思う。もちろん、座席車やクシェット(簡易寝台)を使えば遙かに安く行くことはできるわけであるが、たまには贅沢をしたかった。
2012/3/1:CNL473:Aurora:København H→ Basel SBB
バーゼル行きのシティナイトラインは、コペンハーゲン中央駅を18時10分に出発する。
列車は、18時過ぎに最徐行の推進運転で7番線に入線した。バーゼル行きの他に、アムステルダム行き、ケルン行き、プラハ行きが連なった編成であるから、結構長い。
出発まで10分もない。すべての編成を見て回る時間はないので、早々に乗車する。自宅のプリンターでプリントしたEチケットには、既に座席番号が打ち込まれている。197号車を見つけて乗車する。ドアに掲げられている案内表示には、"Aurora"と書かれている。列車名である。
62番の寝台を探す。下段であった。車内を見ていると、上段1部屋が下段2部屋の広さに相当することが分かる。上段の方は、客室内にトイレとシャワーがついている部屋らしい。
さて、私の寝台だが、乗車時にはまだセットされておらず、座席になっていた。
電気のありかが最初分からずに右往左往したが、客室内のベッドの近くにスイッチがあった。1つは枕頭、1つは客室内の電気、もう1つは夜間用の補助灯のスイッチであった。また、スイッチのある壁にはいくつか引き出しがあり、寝具が入っていたり、或いは小物入れとなっていた。
客室内にテーブルは2つある。1つにはふたがあり、その上にバスタオルが2枚とハンガーが1つ、サービスのミネラルウォーターが1本置かれている。タオルをどかしてふたを開けると、洗面台に早変わりである。
もう1つの方は収納式で、引き出して使うタイプである。パソコンを置いたり、朝飯を置いたりするのにちょうどよいサイズである。
洗面台の上の鏡の扉を開けると、石けん、コップ、フェイスタオルが各2つずつしまわれている。
私は「Single」としてこの寝台を使っているが、この個室は2人で使うこともできる。だから2人分用意されているのだろう。ちなみに、2人で使う場合はベッドは2段ベッドになるようだが、1人でも狭いわけだから2人で使用するのはかなり窮屈ではないかと感じた。
壁にはゴミ箱もある。機能的な作りである。
部屋で色々と写真を撮っていると、隣の客室にも客が入る。服装や帽子から、一見してイスラム教徒と分かる人である。氏も電気の位置で迷って部屋を出たり入ったりして探している。確かに初めてだとわかりにくい。電気の位置を教えて、その後二言三言交わす。
列車は定刻にコペンハーゲン中央駅を出発した。
出発後10分程度で車掌が検札に来る。若い車掌である。Eチケットとクレジットカードを提示すると、車掌はパソコンで打ち出された予約票と照合する。ベッドメーキングの時間と、朝食の希望時間と飲み物を聞かれる。ベッドメーキングは今すぐでも良いとのことだが、座席も楽しみたいので、20時30分でお願いする。朝食は8時、飲み物は紅茶を頼む。車掌がその内容をメモする。また、工事のためバーゼル到着が1時間遅れることが告げられる。遅れる分には別に構わない。明日は特に用事があるわけではなく、むしろ、1時間多く楽しむことができる。
車内を歩いてみる。車端部にトイレが2つ。シャワーの表示もあったが鍵がかけられていた。車掌に言えば使うことができるのだろうか。
進行方向と逆方向の編成へ行く。隣の198号車は197号車と同じ作りの編成である。その先はプラハ行きの編成であった。
今度は逆方向へ歩く。196号車は食堂車。1両丸ごと食堂車であるが、食料倉庫やトイレなどで客室の半分が使われているため、実質的にテーブルなどがあるのは車内の半分程度であった。その先195号車はクシェットである。2・3段式寝台であるが、あまり人は入っていないようであった。
クシェットは部屋に洗面所がないので、トイレに洗面台があったり、或いは洗面室がある。
19時頃に食堂車へ行く。せっかくなので食堂車で夕食をとりたく、コペンハーゲン駅では何も買わなかった。
テーブルに置かれたメニューを見る。英語表記もあるので楽である。さて何にしようかと思うが、チリコンカーンがある。豆のスープである。大好きなので、これを注文する。飲み物はとりあえずファンタを注文する。
ファンタがワイングラスと共に最初に来る。なんか贅沢しているなと思う。
その後、パンと、大椀に盛られたチリコンカーンがサーブされる。量は大して多くはないが、味は美味しい。列車の中でこれだけの水準を保てるのはさすがである。
代金は10.5ユーロ。この雰囲気と味を考えれば、安いと思う。クレジットカードで支払う。
客室に戻ろうとすると、隣の部屋の人がお祈りを始めようとしていた。客室内には絨毯が敷ききれなかったのか、絨毯が客室の外まではみ出していた。邪魔しては悪いので、そそくさと部屋に入る。
客室に戻り、ぼんやりと本を読んでいると、20時30分に先ほどの車掌が現れ、ベッドメーキングをしてくれる。ベッドメーキングと言っても、ただシーツを敷いて布団を掛けるだけではなく、座席をベッドに転換する作業もあるから、時間がかかるだろうと思っていた。しかし、部屋の外で1,2分と待たないうちに、「終わりましたよ」と言われる。あっという間であった。
22時頃まで本を読んでいたが、その後電気を消して寝る。
この列車は渡り鳥コースを通るのではなく、大ベルト海峡の海底トンネルと橋を渡りフュン島へ入り、さらに小ベルト海峡に架かる橋を渡りユトランド半島に入る。その後、国境を越えてドイツに入る。明るい時間帯であれば見応えのある景色を楽しむことができそうな路線であるが、外は真っ暗である。
夜間、時々目を覚まし、窓のシェードを開けてみたが、外は真っ暗で街灯もなく、どこを走っているのかは分からなかった。
【2012/2ドイツ】(目次)
39,コペンハーゲン中央駅付近:2012/3/1【2012/2ドイツ】
40,コペンハーゲンからバーゼルへ:シティナイトラインCNL473「オーロラ」 (1):2012/3/1【2012/2ドイツ】【←本記事】
41,コペンハーゲンからバーゼルへ:シティナイトラインCNL473 「オーロラ」(2):2012/3/2【2012/2ドイツ】