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10,南阿蘇鉄道高森線:サニー号トレイン:2023/9/9【2023/9九州】

投稿日:2023年10月19日

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南阿蘇鉄道高森線は、熊本県の立野~高森の17.7kmを結ぶ路線である。1928年に国鉄宮地線(豊肥本線の前身)として開業、直後に高森線と改称、1986年に第三セクター鉄道である南阿蘇鉄道に転換して、現在に至る。

2016年の熊本地震で被災し、立野~中松の10.5kmの運行が再開したのは、つい先日の2023年7月15日である。全線運行再開にあわせて、1日12往復の列車が設定され、一部列車はJR豊肥本線に直通し肥後大津まで足を伸ばすこととなった。

 

2023/9/9:南阿蘇鉄道高森線:普通:立野→高森

肥後大津を14時50分に出たJR豊肥本線の普通宮地行きは、立野に15時05分に到着した。すぐの15時10分に高森行きがあるので、これに乗り換える。南阿蘇鉄道は、2023年3月に完成したばかりの新駅舎の1階から出発する。

 

次の高森行きの列車は2両編成であり、前方は一般車両、後方の車両は漫画『ONE PIECE』のラッピングがなされた列車であった。

南阿蘇鉄道のホームは1本のみで、ちょうど到着した列車が、折返し次の高森行きになる。ホームには、列車から降りて写真を撮る人、これから乗る人、15時30分発のトロッコ列車に乗る人が集まって、ごった返していた。まだ全線復旧から2ヶ月であることに加え、この『ONE PIECE』の列車目当ての親子だろうか、子供連れの家族が多かった。

 

後ろの『ONE PIECE』の車両はドアが閉まっていたが、前の一般車両はドアが開いており、既に乗車している人もいる。係員にこちらに乗車して良いのかと聞くと、「ちょっと待ってください」と言われ、結局、後ろの車両に誘導された。一般車両は団体専用だったのかもしれない。

 

出発1分ほど前に、やっと後ろの車両のドアが開き、乗車開始となった。客は多く、座席はほとんど埋まったので、行きは最後尾で立っていくことにした。

今回乗車したこの『ONE PIECE』塗装の車両は、南阿蘇鉄道MT-3000形「サニー号トレイン」で、南阿蘇鉄道の全線運転再開を記念して今年の7月から1年間の予定で運行されるという。漫画『ONE PIECE』の著者である漫画家・尾田栄一郎氏が熊本の出身とのことで、熊本地震の後、漫画『ONE PIECE』と熊本県が連携した『ONE PIECE 熊本復興プロジェクト』が立ち上がり、南阿蘇鉄道のラッピング列車もその一環らしい。

車内は、ONE PIECEの絵や小道具で埋め尽くされていた。(以下の写真は高森到着後に撮影)

枕カバーに漫画の一場面が描かれている。

天井にもイラストが描かれている。

注意書きにも『ONE PIECE』が登場する。

網棚には小道具がある。

 

列車は、定刻を1分ほど遅れて、立野を15時11分に出発した。なお、以下の乗車中の写真はいずれも最後尾から撮影したものであり、すなわち立野方の風景である。

ワンマン運転という名目ではあるが、1両目と2両目は通路で繋がっていないため、各車両に乗務員がいる。一見して観光客が多いからか、2両目の乗務員は、マイクで観光案内を行う。

立野を出ると、次の長陽まで4.7km、列車は8分かけて走る。この区間が高森線の中で最も駅間距離が長い。

立野駅を出て程なく、立野橋梁を渡る。

進行方向右手に、現在建設中の立野ダムが見える。

その後、かつては124.7mの犀角山トンネルがあったが、熊本地震でトンネルが損傷したため、復旧にあたり、このトンネルを山ごと撤去したという。現在では、トンネルがあったことなど言われなければ分からない状況である。

犀角山トンネルの跡地を過ぎると、第一白川橋梁を渡る。橋梁の長さは152.15m、川からレール面までは60mあるという。運行再開にあたって架け替えられた橋である。

車窓から。

 

『ONE PIECE』のキャラクターが駅や線路脇に立っており、都度、乗務員からも案内がある。

長陽駅。

 

加勢駅。

 

阿蘇下田城駅。城郭風の駅舎となっている。かつては阿蘇下田城ふれあい温泉駅といい、駅構内に温泉があったらしいが、熊本地震で温泉施設が被災し、温泉の方は営業再開を断念したという。

 

左右に山がある風景である。

 

南阿蘇水の生まれる里白水高原駅。表記で14字、読み仮名で22字、一時は日本で最も長い駅名であった。

 

中松駅。線内で唯一交換設備のある駅である。

 

突如雨が降ってきた。結構強い。乗務員が、待ってましたとばかりに、南阿蘇村は雨が多く、雨量が全国平均の2倍であることを案内した。雨はザッと降って、すぐにやんだ。

 

阿蘇白川駅。高森方に水色の小さな駅舎がある。

 

一時は雨が降っていたが、すぐに晴れた。

 

南阿蘇白川水源駅。

 

見晴台駅。午後の紅茶のCMの撮影に使われたことで、来訪者が増えたという。

車窓から。

さりげなく『ONE PIECE』のキャラクターが立っていた。

 

もともと、高森線は、宮崎県の高千穂を経て延岡まで繋がる計画であった。高森と高千穂は距離にして約30kmで、意外と近い。ただ、この区間を結ぶトンネルを建設した際に度々異常出水があり、工事は難航し、結局計画は1980年に凍結されたという。なお、延岡~高千穂間で1972年に開通していた国鉄高千穂線は、1989年に第三セクターの高千穂鉄道に転換された後、2005年の台風14号で橋梁流出などの甚大な被害を受け、復旧することなく廃線となった。

 

終点の高森には、定刻4分遅れの15時48分に到着した。

 

料金は降車時の支払いである。各車両前の運賃箱の前に乗務員がいて、料金の確認をする。最後尾に立っていたため、降車には時間がかかる。上の車内写真は、この時間を利用して撮影したものである。立野から高森までの運賃は490円也。支払いは現金のみである。

 

停車中のMT-2000形。

 

高森駅には駅舎がある。2023年4月29日に供用開始のまだ真新しい駅舎で、地元の名産品やグッズ、コーヒー、ソフトクリームを売る売店があるほか、マンガ家の色紙が飾っているコーナー、待合スペースもある。乗車券は、定期券やトロッコ列車の乗車券などの一部が購入可能らしいが、高森線内の運賃は車内での支払いとなっており、乗車券の自動券売機も置かれてはいない。また、駅舎内での改札は行っておらず、そもそも駅舎を通ることなくホームと外を行き来できる構造となっている。

高森駅前にはバス停があり、ここから立野駅、南阿蘇村役場へ行くバスも出ている。本数は少ないものの、行きは列車、帰りはバスなどといった行程も可能である。

 

『ONE PIECE』のモニュメントがあった。列車到着時には、この像と同じポーズをして写真を撮る人で順番ができていた。

 

16時24分に、立野を15時30分に出発したトロッコ列車ゆうすげ号が到着した。バスツアーの客もおり、トロッコ列車から降りてきた客の多くは、駅前に停車していた観光バスに乗車していった。

 

2023/9/9:南阿蘇鉄道高森線:普通:高森→立野

折返しの立野行きは16時39分に高森を出発する。

 

ホームの先には車庫があり、左側にはJR豊肥本線へ直通可能なMT-4000形、右側には先ほど乗車してきた「サニー号トレイン」が見えた。

 

トロッコ列車が車庫に引き上げた後、「サニー号トレイン」と一般車両の2両編成の列車が入線した。先ほど高森まで乗車してきた車両である。

今回は一般車両の方に乗車できた。「サニー号トレイン」の方は人気があったが、こちらはほどよく空いていた。この一般車両も、先ほどの「サニー号トレイン」と見た目は全く異なるが、形式は同じMT-3000形である。

車内はロングシートである。(立野到着後撮影)

運転台脇は展望スペースのようになっており、開放的である。

運賃表。

 

車内では、立野での豊肥本線肥後大津行きとの接続が4分であること、到着時の運賃箱での混雑を避けるために事前に両替をしておくようにとの案内がくり返された。

定刻16時39分に高森を出発した。往路と同様、乗務員がマイクで観光案内、車窓案内を行う。

帰りも、途中で一旦ザッと雨が降り、すぐにやんだ。

立野の一つ手前の長陽を出て、戸下トンネルを抜けると第一白川橋梁を渡る。この辺りから、最後尾の出入口脇にある展望スペースのような場所に立った。以下の写真は最後尾から撮影したものである。

 

このあたりが、かつて犀角山トンネルであったところである。

建設中の立野ダム。

立野橋梁を渡ると、立野駅である。

立野に到着する直前に、線路が分かれる。一方はJR豊肥本線に接続する線路で、肥後大津まで直通する列車が使用する。

 

終点の立野には17時09分に到着した。運転台の前で待機している乗務員に高森からの運賃を支払う。490円也。

 

2023/9/9:JR豊肥本線:普通:立野→肥後大津

立野では、4分の接続時間で17時13分発の豊肥本線普通肥後大津行きに乗り換えた。列車は2両編成であった。意外にも、南阿蘇鉄道からの客が全員この列車に乗り換えるというわけではなく、そこまでの混雑にはならなかったが、立ち客もいた。

終点の肥後大津には17時28分に到着した。

 

2023/9/9:JR豊肥本線:普通:肥後大津→新水前寺

肥後大津では、17時32分発の普通熊本行きに乗り換えた。JR豊肥本線は、肥後大津から熊本までが電化されており、ロングシートの815系電車での運行であった。

本日宿泊するホテルは水前寺公園の近くにある。熊本市電との接続駅である新水前寺駅で降りた。時間は17時56分であった。

 

【2023/9九州】(目次

9,大分から肥後大津へ:大分バス「特急やまびこ号」:2023/9/9【2023/9九州】

10,南阿蘇鉄道高森線:サニー号トレイン:2023/9/9【2023/9九州】【←本記事】

11,熊本・水前寺:エクストールイン熊本水前寺:シングルルーム:2023/9/9【2023/9九州】

 

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